Topics
Topics
一覧
森林活用事例集
誰(だれ)森林(もり)資料館
ご存知ですか?森林組合
森林スタイル手帳
メールマガジン
誰(だれ)森林(もり)の輪(わ)
Contact
森林活用セミナー開催情報や森林の活用事例などをお伝えします。

9 『第1回森林活用セミナ-レポート vol.2』 2002/2/19
注目のパネルディスカッション!

●パネルディスカッション『森林を活用するために行政、企業、市民ができること』

 パネリストには、行政・木村良樹氏(和歌山県知事)、企業家・黒田章裕氏(コクヨ株式会社代表取締役社長)、林業家・榛村純一氏(静岡県森林組合連合会会長・掛川市長)を迎え、幸田シャーミン氏(環境ジャーナリスト)のコーディネートで、それぞれの立場・視点から森林への関わり方の現状、これから目指していく方向、そして「森林は誰のもの?」という問いかけについて語られました。
 ※ここでは、2時間にわたるディスカッションのうち、テーマの一部を抜粋し掲載させていただきます。
 
森林との関わりの現状と課題

 幸田氏:「それぞれの視点から見た場合、今森林はどのような現状にあって、どのような課題があるかについてお聞かせ下さい。」
 木村氏:「和歌山県の場合県外の森林所有者が多くて、やっぱり林業が儲からなくなると手を入れなくなるというのは当然のことで、昔の美林もだんだん厳しい状況になってきています。(中略)今経済的にペイしなくなっているものを環境林とという観点から国や自治体が守っていく必要があるのではないか。そしてそれが新しい仕組みの中で守れるようなことを考えていく必要があると思っています。」
 黒田氏:「私たちは年間17万トンの紙を使って製品を作っていますが、半分以上は幸いなことに再生紙。循環型の仕組みになってはいます。しかしその元のパルプはどうかと言うと、残念なことにほとんど外国から輸入をされています。(中略)今、環境をどう次の世代に維持し、できればより良くして伝えていくかということが、これは人間として、もしくは企業として、特に企業の場合はこの環境を破壊する経済行為を多く行っていますので、その辺りを企業経営の中にどう組み込んで、環境を次の時代にうまく引き継いでいくかということが重要になってきています。」
 榛村氏:「今日本の林業が売れない、安い。木材は50年生で伐るものだったのが、今回の林政改革では80年〜130年に延ばすということになった。(中略)長伐期林業にするのだったら、きちっとした施業技術体系を構築することと施業管理を行う相当ハイレベルのの技術者が必要です。だからもっと林業労働力について、しっかりしたビジョンを構築し、ハイテクの林業機械開発と林業技術者の養成が必要です。全国に広がっている森林組合とこれら技術者がリンクして、そして森林が大切だと思っている都市の人たちの支援を得て、新しいシステムを作り上げていくことが必要だと私は思っています。」
 
人から森への贈り物

参加者からの質問風景
 幸田:「私たちは数え切れないほどの恩恵を森林から受けているわけですよね。逆に今度は人から森林へ贈り物ができるようにするためには、私たちにどんなことができるのか。そういうことを伺うことができればと思います。」
 榛村氏:「日本全体がナショナルパークみたいなもんだと思うんですよ。ナショナルパーク・ワーカーの代表者として森林組合が管理をお手伝いしていかなければならない。昔はそれを営林署がきちっとやってたんですが、今は森林組合がやらなきゃしょうがないと思っている。(中略)だから今日お見えの都市側の方々にはぜひ森林組合を育てるように、あるいは森林組合に応援をするように、あるいはそういう贈り物をできるだけ労働力を通じて、知恵を通じて、いろいろなことで応援していただきたいと私は思ってます。自分はもう(森づくりという)贈り物はやり過ぎちゃっているんで。(笑)」
 黒田氏:「森林というのを意識すること、空気みたいなものではないということを大勢の人たちにどう知らせていくか。どういう手段がいいのか僕は答えを持ってませんが、やはりこういうセミナーなど非常にいいと思うんです。それから中央集権型の日本の政治行政の体制から次の時代に変わろうとするときに、いろんなところに目が行き届く、そういう行政のトップを、地方自治のトップを選ばれる。これは人ができる非常に重要なことではないかというような気がいたします。それからやはり技術開発ですね。」
木村氏:「今、山が大事だとか緑が大事だと言っている人は日本中にものすごくたくさんいます。(中略)僕が『緑の雇用事業』というものを提言して、それで今和歌山県の一番主要施策になったんで、うまくいくかどうか分かりませんけれども、うまくいって、これが大きなうねりになれば、それが山に対する恩返しになるのかな。」

 行政(市民)、企業、林業の代表として、参加していただいたパネリストの皆様による2時間にわたるディスカッションは、ここでは伝えきれない程の充実した内容でした。印象深い言葉が数々語られた中で、コーディネーターの幸田シャーミン氏から「ネイティブアメリカンのリーダーの方が、人間と森林は呼吸で結ばれた神聖な関係なんだということを子供達に教えている」というお話があったのも印象的でした。
 最後に会場の参加者からの質問にパネリストが答える時間も設けられ、参加者の森林に対する意識の高さを感じとることができました。
 
[前のページ] [過去のトピックス一覧] [次のページ]

 

フッターイメージ Top of This Page
All rights are reserved (C) Copyright ZEN MORI 2001 National Federation of Forest Owners' Co-operative Associations(ZEN MORI).