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10 『第1回森林活用セミナ-レポート vol.3』 2002/2/19
企業・漁業者・林業者からのメッセージ

●事例発表 企業・漁業者・林業者からのメッセージ
 それぞれのフィールドで森林との良い関係を築いてこられた方々から実践報告が行われました。

○『アサヒビールの森林と水への取り組み』:アサヒビール株式会社環境貢献部プロデューサー 秋葉哲氏
 戦時中、ビールの王冠の裏に使用していた輸入コルクの代用として購入した森林が、昨年FSC(森林認証協議会)の認証を取得するまでの経緯、そしてこれからの取り組みについて発表がありました。
 アサヒビールが所有する「アサヒの森」を守る庄原林業所では、森林資源の確保と公益性のある経済性高い林業経営を目指すという方針を持っていました。この「アサヒの森」が本当に環境に優れた森林なのかということを確認する意味で、認証制度に臨みました。FSCの評価のポイントは3つあり、森林環境を破壊しないという生態系的側面と、地域社会の利益となる社会的な側面(環境林)、経済的に継続が可能な経済的側面。この3つがすべて満たされていることで認証される制度です。
 無事認証が取れたあとも、1年後に再チェックがあり、推奨事項と指摘事項がチェックされます。推奨事項としては、比較的地元雇用がされている、生物多様性が高いという点、指摘事項としては、森林管理の計画モニターリング・システムができていない点などがありましたが、これらの問題を解決するために現在も努力しています。
 今後は、このような認証森林から生産された木材が世の中に流れていくようバックアップをしていくこと、そして山林を環境自然教育のフィールドとして解放していくこと、いかに環境に配慮された森林というものが大事かというのを積極的に情報発信していくことに取り組んでいきます。


○『森と川と海をつなぐ環境活動としての漁民の森づくり』:北海道漁協婦人部連絡協議会会長 北崎初恵氏
 北海道の漁業と森林の重要な関係、そして「100年前の浜をつくる」ための活動についての発表がありました。

 まだ北海道でニシンが豊漁だった昭和26〜27年頃、今のような輸送機関も充実していなかった当時は、捕れたニシンは次々と浜で炊きました。豊漁のため、炊くための薪木も大量に必要でした。そのため山の木を伐り、はげ山に等しいくらいに木がなくなると、雨水があふれ、洪水になると海に赤泥が入り赤潮がでて海藻はだめになり、養殖事業がだめになりました。そして27年以降、ニシンやイカが来なくなってしまったのです。自分たちの生活のためにも、自分たちの前浜をきれいにして、そしてできるだけ海に負担をかけないような生活をしていかなきゃならない。そういうことから婦人部の活動を展開しました。
 やはり海というものは川、山につながっているということに気付いた私たちは、山に木を植えることにしました。そして1年かけて植樹の勉強をしました。はじめは「どうして私たちがやらなければならないのか」という意見がありましたが、植樹をしているうちに、皆が「今、自分のためにならなくても、30年、40年経つとやがて自分の孫子にこの豊かな水と豊かな資源が与えられるんだ」ということを悟るようになりました。この活動を続けたことで、現在は国の補助事業として助成金をもらえるようになり、まだまだ息長く100年かけて100年前の浜をつくっていかなきゃならないんだという大きな意気込みを持って植樹活動に取り組んでいます。


○『市民参加の環境林業を模索する』:大阪府森林組合三島支店長 田中一嘉氏
 これまでの旧高槻市森林組合での実践と昨年大阪府内の16の森林組合が合併して生まれた大阪府森林組合のこれからの活動について発表がありました。

 都市近郊における森林組合のあり方についての提案として、1つは観光林業への取り組みがあります。森林を多目的に利用するための施設をつくり、多くの市民に利用してもらっています。2つ目は林業労働の確保です。11年前に一般公募で募集し、林業宿舎も建設しました。たくさんの反響があり、最終的に採用された人たちの大部分が現在リーダーとなるべく育ってきています。3つ目は環境林業への取り組みです。「里山もりもり構想」というのがあり、3つの柱で成っています。森林と市民の交流(森林ボランティアや市民の方々へ木材を通じた情報提供)、森林資源の有効利用(木材のうち、未利用材を加工して燃料として利用する)、地域の活性化(地元産材をどんどん使い、組合員から出た木材を少しでも高く買い上げていく)です。4つ目は21世紀の森林整備です。森林銀行制度により、諸事情により手放さなければいけなくなった森林を行政が買い取り管理します。
 今後は森林所有者と市町村の橋渡し役に、森林組合が果たす役割が大きくなるのではないでしょうか。また森林の活用法としては、公共団体等がレクリエーションの場として利用することや、循環型資源のバイオマス・エネルギーの供給林としての利用があります。木質バイオマスの利用は最終的に大量に木を使える最後の切り札になるのではないかと思います。
 循環型の時代となる今日の流れを的確にとらえて、森林組合が林業としての取り組みを提案・構築し、次の時代に活き活きとした森林を残していくようなつなぎ方をどんどんやっていかなければならないと思います。
 

 
閉会挨拶〜交流会

●閉会挨拶
●交流会
 セミナー最後のプログラム・参加者同士のネットワークづくりのための交流会が開かれました。
 パネルディスカッションに参加された榛村氏や事例発表をされた北崎氏も参加され、軽い食事をしながらの和やかな雰囲気の中、普段は会話をする機会のない参加者同士が「森林」で繋がっていくのを感じました。
 
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