間伐

第3回 木質バイオマスは21世紀のエネルギー 3/5 

2.木質ペレット

木質ペレットは、木粉や木の皮などの製材廃材や林地残材などを、圧縮成型した固形燃料だ。含水率は8%〜13%、長さは1〜2cm、直径は6〜12mmが一般的で、最大25mmのものまであるが、6〜7mmのものが扱いやすく、家庭でも最良の燃焼状態を実現できるということで最も一般的。木材に含まれるリグニンという成分を熱で融解し固着させることで成形するので、接着剤などを利用していない。燃やしても有害なガスを出す心配はない。

加工品とはいえ、ペレットは乾燥度の高い木のようなもの。薪と同じじゃないか、という疑問をお持ちの方もいるかもしれないが、薪と決定的に違うのは、材質、形状、含水率が一定であること。これにより、ペレットの送り量を調整することで、ペレットストーブの自動運転が可能なこと。薪よりも重量あたりのエネルギー量が多いので、長距離輸送も可能。加熱処理されているため、長期間の保存も可能である。

木質ペレットの発熱量は1kgあたり4000kcal〜5000kcalといわれており、熱効率は高いのだが、石油と比べて約3倍の貯蔵スペースが必要とされ、都会での使用ではこの辺が多少ネックになるかもしれない。

ペレットストーブは、煙突を必要としないFF式のものも多く(もちろん排気は必要)、自動運転が可能。ワイヤレスのリモコンが付いている機種まである。その他でも、点火や消火はスイッチ一つで可能だし、ガスストーブや石油ストーブよりも使い勝手はいいほど。そういった扱いやすさを持ち合わせながら、揺れる赤い炎を眺めることができるペレットストーブは、これからの普及が期待される暖房器具といえる。

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木の皮(バーク)を利用した、バークペレット。
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製材時などに出る木材チップもペレットの原材料になる

木質ペレットは、第一次石油ショックの頃、つまり1970年代にアメリカで開発された。もちろん、中東からの石油の供給が絶たれたら、という危機意識が根底になったと思うが、食料ばかりでなく、エネルギーの自給率も100%を切ると大騒ぎするアメリカという国と、食料もエネルギーも自給率が驚くほど低いのに何の対策も施さない日本という国。どちらが正しいのだろうか? という感慨がわいてくる。ともあれ、70年代から欧米使われはじめ、日本でも一時期注目を集めた時期があり、最盛期には30の工場で27000tのペレットが生産されていた(ペレットクラブ準備会の報告による)。だが、石油ショックの後遺症が癒え、石油の価格が下がり始めると、相対的にペレットの価格が上がることになり下火になっていく。それが、環境問題が深刻化した90年代からゼロエミッションの燃料として再び脚光を浴び始めた。日本では、最盛期の30工場が現在では3工場になり、生産量も2300tに落ち込んでいるものの、現在全国数か所にペレット工場建設が計画、検討されており、生産量も増加する見通しだ。

ペレットの製造工程は、木材チップや木の皮などを破砕し、熱により乾燥させてからペレタイザーと呼ばれるペレット成型機で成型、固まらせるためにすぐに空気で冷却される。機械を動かすには、電力を使うが、乾燥などには木質系の燃料(木質ペレットを含む)が使えるので、あまり大きなエネルギーを必要としないのも木質ペレットの魅力である。

ペレットストーブも薪ストーブ同様、広いリビングに吹き抜けという構造の家で使われるのが理想だ。だが、国土の狭い日本では、家の中を小さな部屋で仕切るのが一般的で、ペレットストーブを導入したくても手を出せない家庭が多いかもしれない。また、外国製品ということもあって、設置費を含めて40万円以上するものが多いのもマイナス要因だ。だが、家を新築、改築する際に家の中心にペレットストーブを配置して、それに見合う住宅を建設する、というのは一考に値する。エコ住宅とまではいわないが、冷暖房のことを考えながら家作りをするのは、これからの常識になるはずである。



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