間伐材とSDGs、ESGの関係

1. 森林整備の重要性

 


森林は、動物や植物の住みかである(目標15)と同時に、水源を守ったり(目標6)、温室効果ガスである二酸化炭素を吸収したり(目標13)、土砂などの流出を防いだり(目標11)といったSDGsの目標の達成に貢献可能な多くの機能を持っています。 もし、森林整備を行わないとしたら、これらの機能が発揮されずに地球温暖化が今までよりも早く進んだり、洪水が起こったりといった深刻な結果を招いてしまいます。 森林の多面的な機能を最大限に活用し、私たちの生活を守るためには、今までにも増して充実した森林整備が必要不可欠なのです。

 

2. パリ協定と木材利用

2020年以降の国際的な温暖化対策の枠組み「パリ協定」では、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5度以内に抑えるために、2050年までにカーボンニュートラル*1を実現する必要があるとされています(目標13)。政府は、2020年10月に、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言しました。その実現に向けて、森林整備による二酸化炭素吸収量の確保のほか、木材製品の利用拡大による炭素貯蔵効果の発揮が求められています。
*1温室効果ガスの排出量と森林などの温室効果ガスの吸収量がプラスマイナスゼロになるようにすること。

   

3. 間伐とは何か?

森林整備は「木を植える」ことだけではありません。植えた木が成長してくると森林の中が混み合い、枝葉を広げることが難しくなったり、森林の中の日当たりが悪くなったりして、木々がお互いに成長を阻害してしまいます。そこで一部の木々を伐採する「間伐」を行うことにより、森林の中により多くの光が降り注ぐようになり、残った木や下草が健全に成長できるようになります。

森林整備のサイクル 

4. 間伐とSDGs

 

「間伐」によって、①風雪害や病虫害に強い健全な森林が育成される(目標13,目標15)、②下層植生が繁茂することにより表土の浸食や流出が抑制され、豊かな森林土壌が形成される(目標6,目標11)、③多様な動植物の生息・生育が可能となり、生物多様性の保全に寄与する(目標15)など、森林の多面的な機能が発揮され、SDGsの様々な目標の達成に近づきます。
 「間伐」の作業を行った際に伐採される木材を、「間伐材」といいます。「間伐」には、伐った木を山から搬出し製品として利用する「利用間伐」と、伐った木を山の中に残す「伐り捨て間伐」があります。大切な資源を無駄にしないために、また、その対価を山村に還元し持続可能な森林経営を育むために、「間伐材」を山の中に切り捨てずに利用することが必要です。「間伐材」を利用することは、森林の多面的な機能の発揮に加えて、持続可能な生産と消費の形態を確保すること(目標12)につながります。

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