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雇用の安定と意識改革:静岡県 有限会社ヤナザイ

4.安全管理、安全活動

(1)「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば人は動かじ」
新規就業者が初めて行なう作業には管理職が付き、しばらくの間、マンツーマンで指導を行なう。特に間伐・かかり木処理では手工具を使ってみせ、重要なポイントを習得させている。
(2)安全教育
・安全会議(月1回) 安全管理、安全活動
  • 月末に開催。施工地、作業内容の危険箇所の洗い出し。
  • 林災防HPより全国の災害報告を印刷し、全員で読み合わせ。
  • 「林業の危険予知訓練」冊子の活用。
・ヒヤリハット、安全宣言(年3回程度)
  • 作業中にケガをしそうになったり、危険だと感じた事をヒヤリハット用紙に記入。
  • (日頃の作業を振り返り、危険への意識を高揚)
  • 個々に安全宣言を記入したカードを作成し作業前ミーティング等で活用している。
(3)健康管理
年に1回の健康診断を実施しており、新規就業者には蜂アレルギーの検査を行なっている。

5.地域への貢献

作業場所の近隣に位置する小学校・中学校に出向き、森林環境教育の授業の提案をしている。学校のそばに山がありながら、山を知らない児童・生徒が多く、チェーンソー実演や杉桧を使ったゲーム等、触感、香りや木の温もりを伝える授業を行ない好評を得ている。

6.今後〜林業の品質の向上に向けて〜

林業はこれからの産業と考えている。斜陽産業ではない。それには産業としての「質」(しつ)をあげなければならない。

山を見る質・伐採搬出技術の質・管理技術の質・仕事意識の質・安全意識の質 等

根本にあるのは一人一人の「考える」質を上げていく事である。どう動けば効率良く伐倒ができたり、材を出す事ができるのか。2つ3つ先の作業のために今、やっておかなくてはならない事はなんなのか。一人一人の動きによって生産性が大きく変わってくる。一人の影響力は従業員500人の大企業では1/500であるが、20名足らずの小企業では1/20であり、一人一人の能力が業績を良くも悪くも変えてしまう。

勤続5年6年の従業員の意識や作業内容は良い方向に向かっており、後輩への伝達教育を進めている。また、「改善提案活動」を始め、業務改善の意識を持つ。

従来の搬出技術の他、全国で始まっている生産性向上、生産コスト低減のための「機械化」「低コスト作業システム」「集約化、団地化による作業の効率化」なども取り入れて、今後も積極的で能動的な展開に取組んでいく。

この地域には多くの人工林があり、建築用材の他、木質資源として活用をしていくために、木材の一環した生産体制を活かし、木材需要を喚起する営業活動も行なっていく。

「木に申し訳ない事をするな」―― 森で仕事をする私たちの想いです。