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若年者雇用と作業システムの改善について:北海道 北村林業株式会社

3.雇用管理の改善と事業の合理化

(1)緑の雇用担い手対策事業の活用

当社は平成19年度から「緑の雇用担い手対策事業」を活用し、現在7名が研修を受けている。森林作業員の平均年齢は5年前の58歳から現在46歳と12歳も若返りを果たした。

また、作業効率の改善と林業労働災害防止の観点から高性能林業機械を積極的に導入し、平坦地の主伐(皆伐)作業では、ハーベスタ伐倒(23歳)、グラップル集材(27歳)、プロセッサ枝払・玉切(42歳)、グラップル巻立(31歳)と若手で構成し、月換算すると60人工で出材1,500m3、1日1人当り25m3を目標にしている。5年前には、1日1人当り10m3未満だったことを考えると大幅な作業効率の向上が見られる。若手作業員の重機操作は、高齢者よりも想像以上に習得が早く驚いている。地域雇用や林業担い手のことを考えると、より一層機械化を進めていかなければならないが、林業は作業に対する経験と高い自己判断能力が必要とされるため、これらをいかに向上、定着させられるかが今後の当社の経営を左右すると言っても過言ではない。

(2)今後の作業システムの変化と問題点

平坦地での作業効率は先程説明したとおり大幅に改善されたが、急傾斜地での間伐作業の作業効率はここ数年大きな進歩がないのが現状である。

実はここにメスを入れなければ、間伐作業主体の当社としては、全体のコストを大幅に削減することができない。当社のみならず、どの事業体でも同様に言えるが、現状の作業システムの問題点つまり最も時間とコストがかかっている部分が集材である。この部分をいかに効率よく低コストに抑えるかがポイントである。

現在ロングリーチグラップルの国内最長は水平距離20mだと言われており、この機械を用いて作業路まで木寄せするだけで大幅な作業効率の改善が図れると思っている。ロングリーチグラップルを組み入れた作業システムを今後の当社の重点事項とし、低コスト、高効率作業システム構築を図ると同時に素材生産に限らず、切捨間伐等の未利用間伐材の有効利用つまりバイオマス利活用にも積極的に導入していく予定である。

4.安全管理と従業員の意識改革

毎日のKY活動、翌日の安全作業打合せ、月1回の安全会議・リスクアセスメント、安全掲示板・社内緊急時連絡体制、安全推進者による安全パトロール等を積極的に展開し、徹底した安全対策を行っている。

当社の特徴として、労働安全訓練と並行し社内検討会を実施している。例えば、同じ作業条件の現場を想定し4〜5人のグループに分け、作業方法・選定機械・潜んでいる危険等を洗い出し、なぜこの機械でこの作業方法なのかを発表させる。すると、各グループ実際に現場で作業している人間にしか分からない感性豊かな様々な答えが出てくる。このことが狙いで、物事を様々な方向から考える力を養うことができる。また、『なぜ利益を上げなければいけないのか』、『社員が働きやすい環境にするにはどうしたら良いのか』と言う踏み込んだ部分のメリット、デメリットを考えさせ、社員の意思統一を図り、単独作業が多い林業では必ず必要とされる判断能力向上に努めている。この効果は徐々に現れ始め、今では作業員自ら作業方法を提案してくるようにまでなった。働く人間の意識を高い位置に持っていかなければ、会社の発展はないと思っている。