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2009/02/26

由利本荘市で東北地方の林業課題を熱く語り合いました

秋田県森連会長(左)、本荘由利森林組合長(右)

秋田県森連会長(左)、本荘由利森林組合長(右)

 今回は、先月第14回本荘由利森林組合造林コンクールにお招きをいただき、全森連の林業活動をお話させていただいたときの話です。
 私は、いつものとおり、日本経済が厳しいこんなときであればこそ、第1次産業の復興に全力を挙げ、一番苦しい立場で努力している人が報いられるような社会にしなければならないことを訴えました。福島県の資材市況は、3月には、昨年11月末に比較して33%落ち込んでおり、他の産業以上のきびしさがあります。林業経営は成り立たないので、森林所有者には山への関心がなくなっていますが、森林経営を止めるわけにはいかないのです。
 森林の公益的機能の評価額は年間70兆円であるといわれています。ヨーロッパでは、山は国・州・個人が一体となって管理し、山を絶対に放置しない仕組みとなっていますから、日本でも森林・林業・林産業に手厚い助成をして良いと考え、機会あるごとに関係大臣、国会議員に働きかけています。
 人間にとって”ふるさと”は、掛け替えのないものです。この”ふるさと”は、みんなで本気になって、守っていかなければならないものです。生態系の原点である森林をそれを守り育てる森林組合を守ることを、本気になってやっていきたいとの考えを繰り返しお話しました。

会場からは熱心なご質問をいただきました

会場からは熱心なご質問をいただきました

 会場に詰め掛けた120人を超える方々からは、実のこもったご質問を多数いただきました。そのいくつかを紹介いたします。
@ 現在の間伐の状況は、3分の1は手入れをしているが、残りの3分の2は手付かずの状態だ。自己負担をしてまで事業をする人はいない。間伐の補助金の標準単価を上げ、もっと間伐に取り組めるような対策をとってもらいたいが、間伐に対する考えをお聞きしたい。
A 国産材比率は、現在の20%を40%位に引き上げるようにしてもらいたい。補助金をもっと上げて欲しいし、木材価格を上げる施策を作って欲しい。また、製材品の価格が安いので製品単価を上げるようにして欲しい。代替燃料には間伐材を100%使うように国に働きかけて欲しい。
B 森林・林業に関心のない市民が増えているので、学校教育の場で緑に関する教育を充実させて欲しい。
C 現在の補助事業に係る関係書類は、面積の多寡に関わらず煩雑である。もっと使い勝手のよい補助制度にして欲しい。
D 補助対象要件として、森林所有者との受委託契約が必須となっているが、請負契約も認めるように林野庁へ働きかけて欲しい。所有者の負担が少なく、一定の額で施業を進めるには請負による施行が、最も適しているし、事業展開し易いと考える。来年度も受委託契約が条件となれば、事業推進はできない状況にあり、他県では、請負で実施するところもあると聞くので、行政庁から強く指導してもらいたい。
E 森林整備を進める際に、国土調査の成果による土地課税台帳の閲覧を行政に求めても、個人情報に絡み慎重な対応となる。先の全国提案型施業事例発表会の久万林業活性化プロジェクトにあるように、もっと簡単に土地課税台帳の閲覧や図面のコピーがもらえるよう系統を挙げて取り組んで欲しい。
 まさに現場で必死に努力している者の声として重く受け止め、行政当局とも十分連携をとって可能なものから順次対応しなければならないと肝に銘じた次第です。

秋田市から会場へ移動中の車窓から

秋田市から会場へ移動中の車窓から

 蛇足になりますが、秋田市から由利本荘市への車窓から荒々しい日本海を見ていましたところ、いわゆる松くい虫被害の無残な松林の姿が目に飛び込んできました。松林は日本の海岸の風景に欠かせないものですが、防風、防雪などの効果もあり、4年ほど前に特急「いなほ14号」が暴風で脱線転覆した事故も防風林の切れ間で起きました。松くい虫に強い交雑種も開発されており、行政関係者には、改植など目に見える対策を望みたいと思います。
平成21年2月26日
全国森林組合連合会
代表理事会長 國井常夫

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森林づくりを進める170万人の協同組合 JForest全国森林組合連合会
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