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2009/02/04

木造住宅の素晴らしさと山村復興にかける思い

國井会長と村松会長(右側:築172年自宅前)

國井会長と村松会長(右側:築172年自宅前)

 みなさん、立春も過ぎようとしておりますがいかがお過ごしでしょうか。
 私の住む福島県は今年は雪も少なく暖かい冬を迎えております。
 しかし、暖かさとは裏腹に巷に溢れるマスコミ情報は、経済危機、金融危機の影響により雇用不安等暗いニュースばかりの毎日です。
 さて、私は全国連の会長として各地の連合会において開催される、総会や会議等に出席させていただいているところですが、愛知県森連を訪問させていただいた際に、村松会長のご自宅を見せていただく機会を得ました。

木造校舎全景(愛知県設楽町立名倉小学校)

木造校舎全景(愛知県設楽町立名倉小学校)

 築172年といいますから江戸時代末期、NHK大河ドラマで放映されていた「篤姫」にも出てきた皇女和宮が腰入れをした天保年間に建てられたもので歴史や時間を超越した素晴らしさに魅了され、改めて日本の風土に合った木造住宅の良さ、それは家族の健康をはじめ鉄やコンクリートには無い貴重な国産材の良さを痛感しました。
 折しも平成20年末に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(200年住宅法)が公布されたところで、国産材で十分対応できると確信したところです。

木造校舎廊下(愛知県設楽町立名倉小学校)

木造校舎廊下(愛知県設楽町立名倉小学校)

 しかしながら、現状は在来工法住宅における木材使用量をみると約7割が外材となっています。地球温暖化防止が叫ばれていますが、ウッドマイルズ研究会によりますと外材の輸送過程の炭素排出量は、国産材に比べ北米材で2.7倍、欧州材で6.2倍(日本からの距離約23千km)となっています。わが国の輸出品の帰り荷だとの話もありますが、原油や鉄鉱石等自国での産出量が少ない資源ならいざしらず、森林資源は豊富に存在しており、釈然としないのは私だけではないと思います。
 木造住宅は第2の森林と言われるように膨大な炭素を貯蔵していますし、木材は比重当たりの強度が強く、断熱性が高く、調湿作用がある、材料製造時の炭素排出量が少ない等優れた素材です。是非とも国産材の利用拡大を進めていく必要があると強く思った次第です。
 一方、林業従事者は年々減少しており約5万人、しかも65歳以上が1/4を占めるなど状況は悪化していますが、先月、大阪と東京で本会が開催した「森林の仕事のガイダンス」には合わせて7千人が訪れ、相談者数は昨年の1.4倍の4千人に達しました。
 地球温暖化防止等森林の有する機能を高めるためには森林整備が必要不可欠であり、その作業を担う林業従事者の安定雇用が必要です。そして木材自給率を倍増させると、山村には単純にいって約10万人の雇用が創出され、また現在の木材生産額が約2千2百億円ですから倍の金額が農山村に落ち、定住化が進み地域の活性化につながります。
 林業経営が成り立つためには、当然ですが収入が支出を上回らねばなりません。山側では、支出を削減するため低コスト林業の推進を図っているところですが、やはり一定以上の木材価格が見込めることによる安定した収入の確保が最も重要です。しかも木材は捨てるところがないのですから、建築用材から紙パルプ用材までハウスメーカーや製紙会社等がいかに国産材を利用してくれるかにかかっていると思います。 
 それには、国会議員、行政をはじめ多くの消費者の皆さんの協力が必要ですが、そのためには、経営の透明性、コストの低減をはじめ、森林組合系統の努力と結集が必要であり、私も先頭に立って頑張る所存ですのでご協力とご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

平成21年2月4日

全国森林組合連合会
代表理事会長 國井常夫

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森林づくりを進める170万人の協同組合 JForest全国森林組合連合会
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