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CO2吸収源として森林は、適正に間伐する必要があり、また、間伐材や木材を私たちが循環資源として利用し、リサイクルすることにより、炭素固定の状態を保てます。最終的に焼却処分する場合もバイオマスとして、エネルギー源になり、化石燃料減少に役立ちます。
東京農工大学農学部FSセンター助教授 佐藤 敬一氏


なぜ、人工林が多いのか?
 最近「間伐」、「間伐材」という言葉をよく耳にしませんか?間伐とは、植えた木が成長して混んできたとき適切に木を間引く作業のことをいいます。それでは今なぜ間伐なのか。それを話す前に、少し日本の森林の歴史的背景を探ってみましょう。
 日本の国土の67%は森林で占められていますが、その森林の約4割が人工林です。人工林とは、人の手で植えられ育てられたスギやヒノキなどの森林のことです。日本の林業の歴史は古いのですが、意外にも今ある人工林の多くは戦後に短期的・緊急的に国をあげての事業で作られたものです。その理由は、戦中、また戦後の復興時に、日本の森林が大量に伐採されたことにあります。各地で裸山が目立つようになり災害も多発しました。こうしたことから全国的な造林運動が高まりました。さらに、都市復興や住宅建設ラッシュなど木材需要は高く、一方では家庭でのエネルギーが薪や木炭から石油やガスに移り変わり(燃料革命)、薪などを供給していた雑木林はスギなどの人工林に姿を変えていきました。植える側からみても、スギ、ヒノキなどの針葉樹は、植えやすく、成長が早い上に育つとまっすぐな木材として利用でき、自然災害も防いでくれるため、盛んに植えられてきたのです。こうして歴史的に例がないほど短期間に人工林が全国に増えたのです。これらの人工林の多くが今、間伐の時期を迎えているわけです。

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間伐が遅れた森林は表土が流れ保水能力も期待できない

なぜ、間伐をするのか?
 わが国では、苗木を高密度に植えて、競争させ成長に応じて間伐をくり返して良質な木材を生産する技術が受け継がれてきました。このため、日本の人工林は間伐を行って、はじめて健全に育つ森林と言えます。
 間伐をしないと、混んだ状態で木が成長してしまうことからモヤシ状になり、風雪害で折れたり、病虫害で枯れたりする危険が高まるほか、暗い地面では下草が生えず土壌の浸食が進み、土壌が痩せ、保水力も期待できません。やがては、私たちの生活に大切な水資源の確保や国土保全の話にも関わってきます。

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公共土木事業での利用は、大量に需要が発生するために期待が高まっている

間伐材を使って森林づくり
 現在、国産材の需要が低迷し木材価格も低下したため、林業経営は厳しい状況にあります。今日、間伐して生産した間伐材を市場に出せば収入はおろか赤字という状況が続いています。このため、多くの森林所有者が間伐を行うことをためらっているのです。こうしたことから間伐への支援については国や地方自治体による補助政策が実施されています。ボランティア団体でも間伐作業に取り組むところが増えてきました。一方で、間伐材を積極的に使うことが森林づくりにつながるという認識が広まり、公共事業をはじめ間伐材利用の気運が高まっています。 「間伐材を使えば森林が良くなる」。この事実を多くの人が理解し行動することで、日本の森林の未来は明るいものになるのです。

地域の施設などでも間伐材の活用が進められている。コストは高めだが、地域の森林整備の一環として配慮があることを知ってほしい
制作(社)全国林業改良普及協会
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