間伐

持続可能社会のエネルギー源 木質バイオマス現場レポート3
 岩手木質バイオマス研究会
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2.岩手型ペレットストーブ

バイオマスエネルギーの中で、最も手軽で、個人で利用できそうなのが、木質ペレットである。木の皮や木粉などを固めて小さな筒状に成形したものだ。ペレットを利用するストーブは、アメリカ製、北欧製など多くの製品が輸入されているが、日本の住宅では利用しにくいものが多かった。しかも高価。岩手型ペレットストーブは、20畳〜40畳用の大型のもので、しかも設置費込みで40万円。「最終目標は、20万円台のものを作ること。現在のは、大ホール用の大型のものなので、もっと小さい家庭用のものも欲しいという要望も殺到しています」(金沢)。40万円にしても、20万円にしてもストーブとしては高価なのでは? と思う人もいるだろうが、輸入されているペレットストーブは比較的小型のもので本体価格40万円台、設置費も10万円以上となっている。岩手型がいかにリーズナブルな価格に抑えられているかが理解できるはず。ストーブといっても、南部鉄をふんだんに利用した重厚なものである。

「岩手型」でなくてはならない理由は、価格の他にもいくつかある。それは、使用するペレットの種類と、排気の方法である。

欧米と日本とでは、製材の方式に違いがあり、欧米では木粉が多量に出るのに対し、日本では木の皮が大量に出る。木の皮を使えなければ、木質資源の最大利用とはいえない。そのため、岩手県では木の皮を利用したペレットを作っている。木粉を使ったペレットよりも、若干燃えにくく、灰が固まりやすいので、木の皮を使ったペレットを外国製のペレットストーブに使用すると、消えてしまう。

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岩手型ペレットストーブ。スリムなスタイルで、スペースを有効に活用することが可能。

もうひとつの排気に関しては、欧米のものが吸気主体の自然排気なのに対し、岩手型はFF(強制排気)を採用している。自然排気では煙突が必要になるが、FFではダクトからの排気で済むのである。これで、構造上はマンションなどでも使用することができるようになった。

ペレットストーブを作っているのは、埼玉に本社のあるサンポット株式会社。大型の石油ストーブを主に製作している会社。岩手県の特色である木質バイオマス資源にはかねてから興味があり、花巻に工場を建設したのを機に地元に関連する特色のあることをしたいという会社の意志が、コンペへの参加に踏み切った理由という。

南部鉄を活用するというのは、岩手型としては外せないところ。さらにお年寄りにも優しくということで、ペレットの入り口を下に配置、揺れを感知しての自動消火する地震対策など、日本ならでは工夫も随所に盛り込まれている。このストーブが、国産ペレット普及の鍵を握っているといってもいいだろう。

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金澤林業の所有林。猛禽類のノスリの棲息する森でもある。守って行かなくてはならない森だ。 ペレタイザー。ペレットの成型機である。独特のノウハウが必要なため、ペレタイザーは、欧米からの輸入品である。


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