日本の森を守る「間伐」
Part 3  森の恵みの新たな活用法─「カートカン」を知っていますか?─
カートカンを採用した飲料製品。
カートカンを採用した飲料製品。
誰も住まない家は傷むのが早いと言われます。人工林も同じで、適度に利用されてこそ健全な姿を保つことができます。日本の人工林にかつての輝きを取り戻すには、私たちが森の恵みを生活の中で利用することが何より大切です。つまり、人工林を維持するためには、森の恵み、つまり木材を適度に利用することにより、森に人の手を入れることが大切なのです。間伐や除伐、枝打ちといった手入れを行わなくては森林はその活力を保つことができなくなるのです。間伐材を利用すれば、間伐などの手入れをおこなうことができます。その間伐材を使用した紙製の飲料缶カートカンを作っている凸版印刷の活動を紹介しましょう。
紙で作ったカンって何?
「日本の需要にあわせるために改良に改良を重ねてきました」と語る凸版印刷株式会社パッケージ事業本部事業戦略本部部長横尾耕一さん
「日本の需要にあわせるために改良に改良を重ねてきました」と語る凸版印刷株式会社パッケージ事業本部部長横尾耕一さん

カートカンは、紙製の飲料缶。紙製の飲料缶といえば、牛乳パックやブリックパックなどが代表的ですが、カートカンはコーヒーやスープなどに使える新しいタイプの紙製飲料缶です。その特徴は、ホットにもコールドにも対応、金属を一切使用していないので蓋を開ければ電子レンジにも対応、もちろん自動販売機にも対応し、使用後は牛乳パックなどと同様にリサイクルが可能なほか焼却処理もできます。賞味期限は最長で9か月。しかも、140度という高温でごく短時間で処理を行う無菌充填法を採用しているため、飲料の味を損なうことがないため、よりおいしく、栄養も失われにくいというメリットまで持っています。

表1

表2
各種殺菌法との比較(上)で、瞬間的に高温で殺菌するカートカンの無菌充填法は短時間で処理が行われるため、食品本来の品質を損なうことなく殺菌でき、また牛乳でのビタミン類変化のグラフ(下)では、無菌充填法の方がレトルト殺菌法よりも残存率が高いことが理解できる。


蓋からも金属を取り去り、蓋をしたままでもレンジにかけられるように改良されている。
蓋からも金属を取り去り、蓋をしたままでもレンジにかけられるように改良されている。
「カートカンは、ドイツのヘラフ社とフィンランドのUPM社が開発したもので、凸版がその技術のライセンスを得たのが1995年のことです。その後、日本の市場に合わせるために、バリアー性材料、つまり、パッケージの内側の処理にセラミック蒸着フィルムを使用することで、賞味期限も最長180日、つまり6か月まで伸ばすことに成功したんです。コールドに加えホットにも対応しています。セラミック蒸着フィルムのおかげでリサイクルもやりやすくなっています。さらに、蓋には当初はアルミを使用していたんですが、これも紙製に変更しました。捨てるにしても、リサイクルに回すにしてもこちらの方がメリットがあります。その間に、日本の需要に応えるためにサイズも3タイプに増やしました。ストローで飲む飲料にも対応していますが、広口にもできて流動食にも対応して電子レンジも使えるので医療食品の分野で注目されているんです。」(凸版印刷株式会社パッケージ事業本部部長横尾耕一さん)。
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