区分:資材

杉間伐材の内装ドア・径の大きい中空木材・不燃/準不燃木材

事業実施にあたっての抱負

岐阜県の森林・林業の活性化を図るため、今回「岐阜広域新生産システム」に参画することになった。杉間伐材の有効的な活用方法を川上と川中、川下が一緒に考え、生産・流通・加工体制の充実に貢献していくとともに、地域産杉間伐材に付加価値を付けていけたらと考えている。

事業の目的

岐阜県産杉間伐材を利用した、より低価格で高品質な製品を安定供給できる体制を構築する。その為には、川上から川下までの生産意識をより高め、森林・環境・生産・流通・加工体制の充実を図る必要がある。そこで今回、「岐阜広域新生産システム」に意欲的に参加している加工業者“親和木材工業㈱”と連携・協力し、当該社の技術を活かした間伐材の内装ドア、径の大きい中空木材、不燃材・準不燃材の造作材を開発・製造する。

製品の特徴

杉間伐材の内装ドア

柱に取れない不適材や柱を取った後の野地板サイズの材料を有効利用できる。鏡板部分を中空にすることに反りを減らすことが可能。また、節があっても問題は無いため、全体の歩留まりがあがる。更に、既存の南洋広葉樹の高品質な無垢ドアを作る技術を利用することで製品単価を安く抑えることができる。

径の大きい中空木材

木径16~24cmの間伐材を利用。中空なので軽量でありながらも、耐久性に優れている。また、しっかり乾燥させているので、木材特有の反り、割れ、狂いが生じにくくなっている。そのため、形状変化が少なく寸法が安定している。

不燃/準不燃木材

柱に取れない不適材や柱を取った後の野地板サイズの材料で、節の無いものを利用(節のあるものはドアに利用)する。厚みを12mm(材積により薬品の残存量が変わり、薄くすると薬品の量が減る)にすることにより価格を下げることができる。

間伐材の内装ドア

間伐材の内装ドア

中空木材の中心にスチール製のジョイント軸を埋め込んだ中空スチールウッド

中空木材の中心にスチール製の
ジョイント軸を埋め込んだ中空
スチールウッド

不燃木材(左)と一般木材(右)

不燃木材(左)と一般木材(右)

広域連携の内容(用途開拓に至った経緯と事業の実施体制)

岐阜県森林組合連合会は素材生産・流通業者として、また親和木材工業㈱は加工業者として、岐阜広域新生産システムに参加するメンバーであり、前者は川上として原木を安定供給するシステム販売を、後者は流域国産材(杉)の有効活用を目指している。後者は元来南洋広葉樹のドアを年間65,000本生産しており、開発力や技術力、生産ノウハウを持ち合わせており、今回それぞれの特徴を活かした取り組みが出来るものと合意し開拓に至ることとなった。

●間伐材の調達
:岐阜県森林組合連合会
●企画設計
:岐阜県森林組合連合会、親和木材工業(株)
●製品の製造
:親和木材工業(株)
●販 売
:親和木材工業(株)
●販売先
:工務店、一般ユーザー(直販システムあり)

実施内容

区分 実施項目 実施結果
製品の製作・実証

① 杉間伐材の内装ドア
試験先:岐阜県生活技術研究所

② 径の大きい中空木材
試験先:親和木材工業(株)

③ 不燃/準不燃木材
試験先:(財)日本建築総合試験所建築確認評定センター

① 試作品として中芯構造が異なるドアを6種、更に塗装の有無に分け計12種を製作、反りと狂いについて試験を実施。構造の違いや塗装の有無で大きな違いが出ることが立証された

② 16~20cm柱不適原木を使用することで、小径木(13~14cm)よりも加工コストを下げることができ、また重厚感も出ることから、ログ丸太としても評価できる

③ 防火材料性能評価委員会より、「技術的基準に適合」として評価された

試験導入
モニタリング
「建築総合展NAGOYA2006」に出展、アンケート調査実施

・内装ドアについては81%もの方が興味を示した

・中空木材については、キットハウス化したものに85%の方が興味を示し、51%の方は大きい径のものへの興味が高かった。只、中空木材の認知度は低く、80%の方が今回初めて知ったと回答された

・不燃木材については74%の方が興味を示したが、44%方が「価格が高い」と回答された

試作品制作・実証状況

① 間伐材の内装ドア
ドアパネルプレス前
ドアパネルプレス前
ドア組立の様子
ドア組立の様子
環境試験の様子
環境試験の様子
② 中空木材
比較調査の様子
比較調査の様子
③ 不燃/準不燃木材
不燃薬剤釜での加圧の様子
不燃薬剤釜での加圧の様子
出釜の様子
出釜の様子
●展示会出展の様子
展示会出展の様子

課題と今後の対応策並びに量的拡大に向けた計画

課題 対応策
原材料の安定供給 森林所有者等の協力を得ながらシステム販売を強化する
製品の低価格化 流通・製造工程の高効率化を図り、コストを考えた計画的な量産製造システムを構築する
売れる商品の開発 川下における情報収集とマーケティングを強化するとともに川上、川中との連携を強化し、高付加価値製品を開発する
販売量の拡大 ログキャビン等キット販売の強化と各種製造ラインの拡大、インターネットや雑誌等を活用した宣伝活動を行う

開発のきっかけになった「岐阜広域新生産システム」について

実施内容

◆新生産システムは、平成18年度から5年間の予定で開始された林野庁のモデル予算事業である。川上から川下まで,低コストで大ロットの木材供給体制を構築することを通じて、林業採算性の改善のモデルケースをつくろうというものである。岐阜広域新生産システムもこの事業に準じたものである。岐阜県では、生産・流通・加工体制の合理化、低コスト化の遅れや材価の低迷等により、森林所有者の所得が低下し、森林整備意欲が減退、手入れ不足の森林の増加による公益的機能の低下、県民生活への悪影響が懸念されている。そこで、意欲ある生産者等の参画を得て、主として利用間伐適期を迎えた杉の生産・流通・加工体制について、

① 森林所有者、森林組合、素材生産・流通業者及び加工業者間の新たなパートナーシップの構築
② 組織化、ネットワーク化、大規模化による安定化
③ 山土場から工場への直送化等による流通コストのカット
④ 合理化・省力化による低コスト化等
により、低価格で高品質な製品を安定的に供給できる体制「岐阜広域新生産システム」のモデル構築を目指している。

◆数値的目的は以下の通りである。
5年後(H22)における原木加工体制:82,000m3/年内協定締結による供給目標量:64,000m3/年(78.0%)

◆想定している生産、流通、加工の各分野における主な取組みは以下の通りである。

生 産 ・森林組合を中心とする森林施業の団地化、集約化の推進( 市町村森林管理委員会による支援)
・県立森林文化アカデミー、県森林科学研究所の協力による低コストな作業システムの構築
・森林GISを活用した効率的な路網システムの構築
流 通 ・出荷者のネットワーク化( 岐阜木材ネットワークセンター他) による原木供給能力の安定化
・山土場から工場への直送による流通コストの削減
加 工 ・大規模な加工体制の整備による低コストな生産体制の構築
・加工体制のネットワーク化による製品供給能力の安定化
・構造材、造作材からボード、バイオマス利用まで木材のカスケード利用の推進

●本事業の生産・加工システム

本事業の生産・加工システム

連携事業を構築していくために・・・

●川下の発想を大切に

「常にエンドユーザーの方を向いて製品開発を行う。そのスタイルやシステムを川下から川上へ逆流させ、新たな林業のかたちをつくっていきたい・・・。」親和木材工業(株)の古田元社長はそんな思いを持って本事業に取り組んできた。これまでの林業にはあまり見られないマーケティングの発想を持ち込もうとするものだ。岐阜県森林組合連合会の久保田光則業務部長もこの思いに賛同し本事業に取り組んできた。作ったものをどう売るかでは無く、売れるものをどう作るかという川下の視点で林業全体を見直すことが重要になってきており、本事業はまさにそのことを証明するものである。

●自分達の強みを活かす

本事業に取り組む上での大きなポイントの一つは、親和木材工業( 株)がこれまで製造してきた南洋広葉樹の無垢ドアを作るノウハウと設備を利用できると考えたところである。既存の設備を利用することでコストも低く抑えられ、製品価格も安く設定することができる。今自分達が持っているノウハウや設備をいかにして他の付加価値に変えていけるのか、親和木材工業(株)ではいつもそのことを考えていると言う。

●システム販売を強化していく

岐阜県森林組合連合会の久保田光則業務部長は、「川下側の需要が伸びても山から安定した原木が供給されなければ意味が無い」と川上側の課題を懸念する。ようやく川下側との連携が見えてきただけに、この課題を何とか解決していかなければならないとの思いから、森林評価測定士による原木の選定、中間手間をできるだけ省いて伐り出す“システム販売”の構築を目指し、安定供給できる仕組みづくりに取り組んできた。

●いつも危機感を持って先を見る

「この先、南洋材が入ってこなくなるのでは?」という危機感が、地域流域材でもある杉間伐材を見直すきっかけにもなったと古田元社長は言う。また、多少売上が安定している製品であっても、たった一つの状況変化でその動向は一変する。だから常に社員には、市場の変化に注目し、これから何が必要とされるのか、他社には出来ない付加価値とは何かを考え研究・開発していくよう指導していると言う。その単位は5年、スピードも要求される。現在注目され始めている中空木材やそれを活かしたキットハウスもこのプロセスから生まれた製品である。いつも危機感を持って先を見る。その姿勢こそが市場における生き残り策だと考えている。

●持続可能な林業を目指して

“システム販売”の目的は山から原木を安定して供給するだけではない。一定の量を中間手間を省いて伐り出すことでコストを抑え、できるだけ原木を高く購入し、その分を山側へ還元する仕組みづくりでもあると久保田光則業務部長は言う。古田元社長、古田剛士常務もその考えに賛同している。共益の構造が無ければ事業は継続していかない。そのことを双方がしっかりと理解しているのである。川上と川下による連携事業は始まったばかりではあるが、更に連携の体制を強化し、これからも共益につながる事業に取り組んでいきたいと唱えている。

中空木材キットハウスの例
中空木材キットハウスの例
中空木材キットハウスはその組み立て方も含めてDIY系雑誌でも紹介されている
中空木材キットハウスは
その組み立て方も含めて
DIY系雑誌でも紹介されている

その他の概要

間伐材の計画利用量
本年度 36.076m3 今後5年間 22,400m3
間伐材の調達先 岐阜県森林組合連合会・岐阜県産材(岐阜県全域)
本事業の実施期間 平成18年8月~平成19年3月
試作品の製作・実証 実施者 親和木材工業株式会社・岐阜県生活技術研究所 他
試験導入・モニタリング 方法 試験調査・モニタリング・アンケート調査
実施場所 親和木材工業株式会社・愛知産業技術研究所・「建築総合展NAGOYA2006」 他
実施者 親和木材工業株式会社・岐阜県生活技術研究所 他 対象者 一般消費者 他
製品の設定価格
杉ドア:25,000円
不燃木材:200万円
準不燃木材:170万円
ログミニキットハウス:23万円/坪
販売目標 4年後総売上:金額48,050万円

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