区分:その他

多目的利用型「ヒノキの酒樽ハウス」

事業実施にあたっての抱負

大正町エリアの森林の再生と地域活性化を目的に、現在コクヨグループと取り組んでいる「結の森」プロジェクトと連動し、再生の森をつくるプロセスで搬出される桧の間伐材を利用した楽しくインパクトのある商材をつくり、四万十から全国へ発信していきたい。

事業の目的

近年国産材の利用推進は少しずつ増加しているが、依然として価格は低迷し、また市場における認知度も足りない。そこで、先ずは消費者意識が高まっている高収入中高年男性に向けて「男の隠れ屋」をテーマに、酒の仕込み樽を個人ユーズの空間向けに改造、コンパクト化し「樽ハウス」として販売、桧間伐材の新しい利用価値を提案する事で木材そのものの価値を向上させたい。更に、民間企業と連携することで桧を一般消費者に身近に感じてもらう販売戦略・プロモーションを展開していく。

製品の特徴

多目的利用型「ヒノキの酒樽ハウス」

1.この樽ハウスは、「結の森」から伐り出された38年生の桧の間伐材を70本、体積で約7m3使用している
2.二酸化炭素の吸収・固定量は約3.5トン
3.高さは約2.3m、床部分の直径は約2.4m、約1.37坪の広さがある
4.組み立て式で大人3~4人で6時間もあれば完成する
5.出入り口や明かり窓、和机なども付加し、自分だけの「あずまや」として利用する機能を有する
6.防水加工、塗装にも独自の技術を活かしている
7.また、3トントラックがあればどこでも輸送が可能である
8.特許及び実用新案への申請準備中

多目的利用型「ヒノキの酒樽ハウス」

多目的利用型「ヒノキの酒樽ハウス」

広域連携の内容(用途開拓に至った経緯と事業の実施体制)

大正町森林組合は、平成11年よりコクヨグループの間伐材利用事業のパートナーとして製品を提供しており、日々信頼関係を深めていく中で、地域の人々と一緒に森から新しい価値を生み出すことによって、また地域の眠っている可能性を引き出すことによって森と地域を再生していきたいという双方の想いが一致し「結の森プロジェクト」を誕生させた。本製品は、その事業の一環でもある「森・川・海の恵み(地域産物)商品化プログラム」の一つとしても位置付けられ、四万十流域桧のPR商材にしていきたいと考えている。

●間伐材の調達
:大正町森林組合
●図面製作
:湘南建築設計室
●製品の製造
:大正町森林組合集成材工場
●製品コンセプトメイク・販売(予定)
:コクヨファニチャー㈱、コクヨビジネスサービス㈱、コクヨオフィスシステム㈱
●地域コーディネート
:アミタ(株)持続可能経済研究所

実施内容

区分 実施項目 実施結果
製品の製作・実証

① 計画並びに設計会議の実施

② 酒蔵視察

③ 施策検討
(構造、強度、仕様、販売ルート等)

① デザイン面ではインパクトを持たせられたが、壁板のジョイント方法と樽の「たが」の素材について検討の余地があった

② 酒樽の構造を見ることで改善ができた

③ 構造、強度、仕様ともある程度満足のいく計画が立てられた(販売ルートはモニタリング後に再検討)

試験導入
モニタリング
四万十町「道の駅・あぐり窪川」に設置

期待通り大きなインパクトが得られた。今後は耐久性も含めて長期でのモニタリングを行う予定

試作品制作・実証状況

① 大正町森林組合集成材工場から3トントラックに材料を載せ、「あぐり窪川」へ輸送 ② 土台となる板を立てて置き、その上に床板となる円形の台を組み立てていく ③ 床板の連結にはつぎ目に楕円形の板を埋め込んで補強し、ビスを通しナットでしっかりと締める
① 大正町森林組合集成材工場から3トントラックに材料を載せ、「あぐり窪川」へ輸送

② 土台となる板を立てて置き、その上に床板となる円形の台を組み立てていく ③ 床板の連結にはつぎ目に楕円形の板を埋め込んで補強し、ビスを通しナットでしっかりと締める
④ 「③」の作業を繰り返し、床板をつなぎ合わせて直径2.4mの円形の床が完成 ⑤ ロープで支えながら、壁板を一枚ずつつなぎ合わせていく ⑥ 壁となる板の側面には溝が切ってあり、ここに細長い板を差し込んでつなぎ合わせる
④ 「③」の作業を繰り返し、床板をつなぎ合わせて直径2.4mの円形の床が完成 ⑤ ロープで支えながら、壁板を一枚ずつつなぎ合わせていく ⑥ 壁となる板の側面には溝が切ってあり、ここに細長い板を差し込んでつなぎ合わせる
⑦ 壁板が組みあがったら、続いて屋根板を組み付ける。真ん中に半球型のアクリル製の窓をはめ込む ⑧ 樽の「たが」となる太いワイヤーを巻く・これは伐採の現場で使用する架線集材ワイヤーを再利用したもの ⑨ 入り口の扉を取り付け、完成。所要時間およそ6時間
⑦ 壁板が組みあがったら、続いて屋根板を組み付ける。真ん中に半球型のアクリル製の窓をはめ込む ⑧ 樽の「たが」となる太いワイヤーを巻く・これは伐採の現場で使用する架線集材ワイヤーを再利用したもの ⑨ 入り口の扉を取り付け、完成。
所要時間およそ6時間

課題と今後の対応策並びに量的拡大に向けた計画

課題(モニタリングでの指摘) 今後の対応策並びに量的拡大に向けた計画
多人数が入った場合の換気 窓を確保し改善にあたった
入り口のドアが狭い “あずまや”の雰囲気を壊さぬ程度に大きくする
地面からの床高が不足(冷気や湿気への配慮) 床高を現行よりも5~10㎝上げ通気性を確保しながらも、安全性に十分配慮する
樽の風化・劣化への対処 平成19年4月より「道の駅・四万十大正」に設置、調査、研究を年間通じて実施
低価格化(手の届きやすい価格設定) 製造コスト、流通コストの削減方法を検討する

“樽ハウス”開発のきっかけになった「結の森」について

●「結の森」とは

「結の森」の正式名称は『コクヨ-四万十・結の森プロジェクト』と言い、コクヨグループと大正町森林組合を中心とする四万十川地域の方々とのパートナーシップによる森林保全と、経済活動の活性化による環境保全活動を行うプロジェクトで2006年4月から始動している。かつて農村では、田植えなどで、地域の住民が互いに助け合って共同作業を行うという慣習があり、それを結い(ゆい)と呼んでいる。また、「結」という漢字には、「むすぶ・つなぐ・約束する」といった意味があることから、この名称がつけられた。

結の森モデル森林(轟崎・葛籠川地区)面積:約110ha
結の森モデル森林(轟崎・葛籠川地区)
面積:約110ha

●コクヨグループと大正町森林組合の“思い”が一致

コクヨグループの歴史は紙から始まり、その資源を森林に依存してきた。以前から日本の森林荒廃問題に着目し、森林再生につながる間伐材利用を進めてきたこともあり、森林の荒廃とともに古くから日本にあった山村の暮らしの知恵・里の文化が失われつつあることに危機感を抱いていた。商品を通じて世の中に役立つだけでなく、山村と都市を結び、資源循環で活性化を図ることが出来ないか、そこに企業ならではのノウハウを投入できないか、そんな社会的責任のあり方を模索し、ひとつの提言として社会に投げかけたいという強い思いがあった。一方、大正町森林組合でも、子や孫のために、未来の可能性を高めるためにと植えられた地域の財産でもある杉・桧を守るため、集成材工場をつくるなどして人工林の経済価値を高め、森林を再生するという努力を続けてきた。更に、下流域の人たちとのネットワークを広げながら、“日本最後の清流・四万十川”のネームバリューを活かした四万十桧の新たな需要喚起と地域再生に取り組んでいきたいという思いがあった。そして、双方のその思いを幾度となくぶつけ合い、他力本願ではないまさに“協働”で取り組むという姿勢が『コクヨ-四万十・結の森プロジェクト』を誕生させたと言える。

●「結の森」の全体計画概要

コンセプト 結(ゆい)
人と人、人と自然の「つながり」を結い合わせ、つながりを連鎖させていくことによって、環境と経済の好循環を実現していく

【活動プログラムごとの活動方針と活動内容】

  結の森 整備プログラム 森・川・海の恵み商品化プログラム 情報発信プログラム
基本方針

・人工林を主な整備対象とする

・泥土が四万十川に全く流れ込まない森をつくる

・愉しみながら学ぶことができる気持ち良い森をつくる

・結のコンセプトと四万十川地域の自然や生活文化をもとにした商材の開発

・商品開発だけでなく販売、流通のための体制整備をすすめる

・四万十地域の人と人、人の自然のつながりをテーマとする

・人と自然の問題の背景を分かりやすく表現していく

主な活動
内容

・結の森の設置と拡大・持続可能な森林管理の実践とFSC森林認証の取得

・学校との連携による研究、教育の場としての活用

・地場産品、エコツアーの企画、販売、「結の森社( 仮称)」の設立

・WEB上での定期的な情報発信

・各種メディアを通じた情報発信

 

実施体制 森林ワーキンググループ 商材開発ワーキンググループ 情報発信ワーキンググループ

コクヨ‐四万十・結の森プロジェクト 運営協議会

幹事団体:コクヨグループ、大正町森林組合

構成団体:地域の各種団体または個人、四万十町、高知県など

運営協議会:関係者による合意形成、情報共有、進捗管理を行う場
幹事団体:結の森プロジェクトの実施責任者であり、最終的な意思決定を行う
構成団体:運営協議会に参加し、結の森プロジェクトの運営について、意見・助言を行う
ワーキンググループ:各活動プログラムに対応する活動を執行する組織

結の森ホームページアドレス:http://www.kokuyo.co.jp/yui/

連携事業を構築していくために・・・

●妥協はしない、いつも真剣勝負

コクヨとの仕事が始まった頃、素材の選択や仕上げ、梱包に至るまでの品質の基準の厳しさが、我々の認識とまるで違っていたと語るのは大正町森林組合集成材工場の工場長兼営業部長の竹内將純氏。「駄目出し」の指摘を何度も受けながらも、コクヨの熱意と姿勢に何とか応えたい、市場で売れる商品をつくりたいという一心から品質向上に真剣に取り組んできた。その甲斐あって、今では品質へのクレームはほとんどなくなったと言う。製品を買う側の声をしっかり聞き、そのニーズに対応していくことこそが、結局は自分達のレベル向上につながっていくことになると唱えている。

●製造コストを削減する

品質を向上させながら、いかにして製造コストを削減していくかも重要なポイント。大正町森林組合集成材工場では“無駄”を無くすことに力を注いでいる。基本的に製材、乾燥、加工、製品製造まで本工場で実施し余計な流通コストをかけない。製造過程で出た木屑は燃料として利用している。今後は端材を使った知育玩具の開発も手がけていくとのことである。

●職場はオープンに、とことん話し合って若手を育成

大正町森林組合集成材工場に勤務する従業員の平均年齢は43~44歳、若手が働きやすいそして人材を育成しやすい職場づくりを目指している。竹内將純部長が「工場に社長はいらない。」と豪語する通り、経営や財務に関しても基本的にオープン。重要な問題や納得のいかない事などは、とことん話し合い解決にあたる。皆が主体性を持って業務にあたることこそが品質やサービスの向上、更にはコスト削減にもつながると言う。

●夢のある製品から夢のある仕事に

竹内將純部長は、地域林業再生には夢のある製品を下流域の人達と一緒に考え提供していくことが必要だと考えている。これまでのように、建材の一部として使われる製品を作るだけでは、考える楽しみ、作る楽しみ、使われる楽しみは実感できない。それでは若手は育たないし技術も磨かれない。竹内將純部長自身、下流域の人たちと切磋琢磨しながら製品を開発してきたことで、開発する楽しさや技術を磨く喜びを得てきた。「樽ハウスもその一つである。「樽ハウス」をもっと知ってもらい、また使ってもらいながらニーズに対応できる製品に改良しつつ、様々な場所に浸透させていくことで、林業に携わること、木を扱うことの楽しさや夢を提供していきたいと考えている。

●脚で稼いでネットワークづくり

連携事業を構築する上で最も重要だと言っても過言ではないのが“ネットワークづくり”。今回の「樽ハウス」の開発にあたってもコクヨグループと大正町森林組合を中心に何度も議論が重ねられ、酒造メーカーを視察し酒樽の構造を学び、設計士に相談、モニタリング(設置)場所など、多くの方の参画と協力があってこそ実現したプロジェクトである。コクヨグループや大正町森林組合が元来より持っていたネットワークもあるが、新たに脚で稼いでできたネットワークも相当あると言う。より社会的にインパクトのある事業、さらには大きな成果や反響を得ようとする事業であるならばより多くの専門化集団のネットワーク化が必要になってくる。コクヨグループと大正町森林組合はそのための努力を全く惜しまない。むしろ日ごろから積極的に行っている。フットワークを軽くし、自分達の考えを様々な方面で伝えていくことこそがネットワークづくりの基本だと唱えている。

【今後予定している「樽ハウス」に関するモニタリング調査】

項 目 概 要
調査方法 「結の森」エコツアー参加者へのアンケート調査
実施時期 平成19年7月28日~29日
実施場所 「道の駅・あぐり窪川」
実施者 アミタ㈱持続可能経済研究所・コクヨ㈱・大正町森林組合
対象者 参加者全員

その他の概要

間伐材の計画利用量
本年度 10m3 今後5年間 200m3
間伐材の調達先 大正町森林組合
本事業の実施期間 平成18年8月~平成19年3月
試作品の製作・実証 実施者 大正町森林組合
試験導入・モニタリング 方法 現地エコツアー参加者・コクヨサイトへのアンケート調査(平成19年8月頃予定)
実施場所 四万十町内
実施者 アミタ㈱持続可能経済研究所・コクヨファニチャー株式会社 対象者 中年男性層
製品の設定価格
150万円程度 販売目標 初年度:1,500万円

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