*********************************            森林環境教育ネットワークメールマガジン                    第 44 号                  平成18年2月1日 *********************************  □今号の目次    1.教育再生会議第一次報告が取りまとめられました    2.フィリピンの森林・林業事情 (12)    3.コラム ECOコロ (1)    4.森林環境教育リレートーク    5.林野庁ホームページのご紹介 **---***---***---***---***---***---***---***---***---***---**  暖冬とはいえ、乾燥した夜風が身にしみる日々が続いていますが、みなさま 元気でお過ごしでしょうか。新しい一年の12分の1があっという間に過ぎようと しています。十二支の中では一番足の遅いはずのイノシシですが、時間の 過ぎ去っていくスピードはやはり変わらないようです。  早い流れに足を取られて自分を見失わないよう、一歩一歩血の通った足で 踏みしめ、歩いていかなければと思います。  前43号の「森林環境教育リレートーク」で想いを語っていただいた、福岡県 浮羽森林組合の吉弘さんのコラムが今号より連載開始いたします。森林組合 という現場での森林環境教育の取り組み。お話が楽しみです。 それではみなさん、今号もよろしくおつきあい下さい。  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  ◆ネットワーク会員の登録は2月1日現在 No.549に達しました。  ◆イベント情報    1月15日以降、新たに5つのイベントが登録されました。     ◇『森と水の環境教育 プロジェクト・ラーニング・ツリー&ウェット        一般指導者養成セミナー in なかとんべつ 』     ◇『シンポジウム「森と地域のつながり〜21世紀の幸せを考える〜」』     ◇『第8回インタープリターのための企画セミナー』     ◇『やまね学校28〜冬眠の不思議を探る!〜』     ◇『第10回 大人のための自然体験シリーズ 早春編』    詳しくは、ホームページ“イベント情報”まで。      →http://www.zenmori.org/feenet/einfo/ **---***---***---***---***---***---***---***---***---***---** 1.教育再生会議第一次報告が取りまとめられました  新聞等の報道でご覧になった方も多いと思いますが、去る1月24日に教育 再生会議の第一次報告が出されています。教育再生会議は、昨年10月に、 21世紀の日本にふさわしい教育体制を構築し教育の再生を図っていくため、 教育の基本にさかのぼった改革を推進する必要があるという趣旨の下、内閣 に設置されています。  第一次報告では、ゆとり教育の見直し、学力向上、教員や教育委員会など に関する内容が目立ちますが、体験活動に関しても明記されています。 詳しくは、下記の首相官邸ホームページから全文をご覧頂くことができますが、 ここでは体験活動に関係する部分について簡単にご紹介します。  体験活動が具体的にまとまった形で取り上げられているのは、「教育再生 のための当面の取組」の3、「すべての子供に規範を教え、社会人としての 基本を徹底する」の(2)、「父母を愛し、兄弟姉妹を愛し、友を愛そう」という 項であり、その基本的な方向が「体験活動の充実」であるとされています。  さらに具体的な対応方策として、「都市と農山漁村の交流のための長期 集団宿泊体験・「国内留学」、自然体験、奉仕活動、ボランティア体験、職業 体験等の計画的・体系的推進と環境整備を図る。体験や奉仕活動、集団活動、 スポーツなどにより、規律、奉仕の精神、社会のルール、相互扶助の大切さや 達成感を学ぶ。」と記されています。  また、この他にも、子供の多様な能力・適性、価値観等に応えるために、学校 は体験活動、スポーツ、ふるさと学習などを進めるべき旨の記述や、放課後子ど もプランの中での自然体験活動への取組等の記述もあるところです。  今後、この報告を踏まえた取組や法案の提出が検討されていくこととなり、 また、5月を目途に第二次報告、12月までに第三次報告がまとめられていく こととなっています。 ※首相官邸ホームページ http://www.kantei.go.jp/  トップ→政策会議等の活動→教育再生会議」で教育再生会議のページに 飛ぶことができます。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 2.フィリピンの森林・林業事情 (12)  私がフィリピンで住民主体の林業プロジェクトの実行に携わっていたのは、 2004年の12月までですが、この度2年ぶりにそのプロジェクトサイトを訪問して きました。  仕事仲間である大学の先生は、研修で日本に半年来ていたこともあり、 彼に会うのは約1年ぶりですが、その他の皆に会うのは久々で、再会するの が楽しみな気持ちである一方、プロジェクトがどのようになっているか不安な 気持ちも入り混じった複雑な心境でした。  マニラ空港に降り立つともうそこは真冬の日本とは正反対の常夏のフィリピン で、帰ってきたなあとしみじみと感じました。観光客は、大抵空港からすぐに タクシーで中心部に移動するのでしょうが、混沌としたマニラの日常を感じたく なり、市民の足であるジプニー(フィリピンオリジナルの乗り合いのジープ)に乗 りマニラの中心部に向かいました。  マニラの日常とは言っても、年末だったため、市場は通常以上に人々であふ れ、いつもに増して賑やかでした。日本のアメ横の雰囲気に似ているかもしれ ません。  プロジェクトサイトのあるカリンガ州は、マニラから北に直線距離で400km ほど離れています。移動手段は、バスか飛行機になりますが、久々のフィリピン ということで10時間以上かかるバスでの移動は避け、飛行機で移動することに しました。  その飛行機の関係で、プロジェクトサイトの訪問は年を越してからということに なりました。フィリピンの年越しについていろいろとご紹介したいこともあります が、長くなってしまいますのでここでは割愛します。  プロジェクトについてですが、私が携わったのは、プロジェクトの立ち上げと 最初の1年間の作業でした。つまり、住民主体の森林経営を実現するための 組織作り、体制作りと草地と化した山で林業を行うための設備作り、そして、 実際の植林作業までを担当しました。  プロジェクト自体は、スタートしてから4年目に入ろうとしていますが、植栽木 は初年度に植えたものが3年生となっています。初年度に植えた樹種は、比 較的成長の早いタイプの樹種でしたので順調に育っていれば、それなりの 大きさになっていることが予想されます。  ともあれ、2年ぶりのプロジェクトサイトを訪れた結果からいえば、良くも悪くも 予想通りという結果でした。最もよく育っていたもので、胸高直径20cm、樹高 約6mにもなっていました。このプロジェクトは、アグロフォレストリーの形式で 進めているため、林業木の成長だけがすべてではありませんが、それでも大き く育ってくれているのをみるのは嬉しいものでした。  ただ、何よりうれしかったのは、住民組織の皆がこのプロジェクトをしっかり 継続していてくれたことです。このことが一番重要なことです。  良くも悪くも予想通りと書いたのは、やはり問題もあったからなのですが、 それらも含めプロジェクトサイトの詳しいことについては、また次回にしたいと 思います。  続く ――――――――――――――――――――――――――――――――― 3.ECOコロ Vol.1 「そだてるココロ」  こんにちは、今回より連載コラムを書かせて頂きます、吉弘拓生と申します。 宜しくお願い致します。  まず最初にこの業界に入って約3年、未熟な私にご協力頂きました多くの 皆様に感謝申し上げます。  私がどんな人かを一言で例えるならば「ちょっと変わった考えの人」という のが一番似合うかもしれません。地元では「茶髪の風雲児」なんて呼ばれて います(笑)私なりの表現で、森林環境教育や実際の現場での仕事等につい て語っていきたいと思います。“ありのまま”をお伝えできればと思います。 宜しくお付き合い下さい。  さて、2007年1月、今年の福岡は例年になく暖かい(全国的にそうでしょう が…)。私は実際に仕事で現場にも行きますので肌で感じてます。これも温暖 化の影響なのでしょうか?雪を見る機会がなくなってきました。クリスマス生ま れの私には、ちょっと残念でなりません。  温暖化防止活動の一環で、近年、企業によるボランティア植樹が増えてきま した。  TVCMでも“環境に優しい会社”としてその活動を紹介したものをよく目 にします。私達の組合管轄区内でも、この時期になると企業との植樹祭を 行う機会が増えてきました。今回は植樹祭に至るまで、つまり「植樹する前」 にどのような準備が行われているのかをチョット紹介しつつ、現場での出来事 等を紹介していきたいと思います。  2月24日(土)に某企業さんとのボランティア植樹祭があります。現地は市内 の荒廃した山林。といっても見た感じは「ここは木があったのか!?」と 言わんばかりの状況…。とてもじゃないけど植樹できる状況ではありません。 この1ヶ月の間に、対象地の伐採・地拵え・整理を行ない、植樹できるような 状況にします。  今まさに現場では、作業員の方が汗を流しています。この作業はもちろんボ ランティアではありません。荒廃した場所を綺麗に整理するというのは並大抵 な事ではありません。トゲトゲの雑草や枯れた木、とても小さなものなんですが、 これを甘く見ると怪我をしてしまいます。現場には常に危険が伴う。この作業を ボランティアの方にしてもらうのは非常に危険ですから、ベテランの作業員の 方に行ってもらいます。  作業員の皆さん、ボランティアの皆さんのお陰で、荒廃した森林がよみがえ ります。その日まであと1ヶ月。この1ヶ月間の経緯は連載で紹介していきます。  そういえば、「山に木を植えましょう」というキャッチコピーをよく耳にします が、是非、「山に木を植えて“育てましょう”」とつけて頂きたい。  山に木を植えれば終わり…それでは困るからです。植えて頂いた苗木は最 低5年間「下刈」をしないと雑草に負けていまい、もとの荒廃した森林に戻って しまします。「木を植える」事は非常に大切で、地球にも、そして人間にも優しい コト。だからこそ!!もう一つ“そだてるココロ”を忘れないでほしい。  人も保育期間があって大人になるように“木”にも保育期間があって大人に なる。当たり前の様なコトですが、“ボランティア”という魔法のコトバの影響か、 この一番大切なコトを意外と忘れがちになっているのかも知れない…  植えて終わりではなく、優しく育てて大きくなって、初めて“森林”に成長し ます。恋愛と一緒で、その愛情が多ければ多いほど、綺麗に・大きな森林に なっていく。育てるのを放棄してしまうと「荒廃した森林」になっていく。  いろんな意味で「そだてるコトの森林環境教育」も必要かな〜と思う今日 この頃です。  ゆとり教育が見直される中、学校の授業の中で「森林環境教育」が一日も 早く盛り込まれることを夢見ています。  今回は、違った視点ではありませんでしたが、次回のお楽しみと言うことで… 題 名:ECOコロ(えこころ)【環境というECOと人に優しい心を“描く”いう意味 でココロをコンセプトにしmixさせてECOコロました】 ********************************************************** 吉弘 拓生(よしひろたくお)   1981年福岡市生まれ、25歳、九州産業大学卒業。2004年4月、福岡県・ 浮羽森林組合入所。福岡の森林・林業界における茶髪の風雲児。好きな 言葉は「奇跡はおきる事では無く、おこす事」、尊敬する人物は「父」。  大学在学時より「持続的可能な森林経営」「団地・集約化施業の必要性」 「森林におけるグリーン・ツーリズム」を研究・提唱。また、大学在学中はFM ラジオDJとしても活躍。その変わった経験とノウハウを活かし、現在はソフト 面で、「観光・医療・教育・福祉」といった21世紀型・付加価値のある森林 作りを、ハード面では「団地・集約化施業」について、持ち前の“発想力” “企画力”“実行力”で今までに例を見ない違った視点・切り口での研究・ 実現を進めている。  趣味は野球観戦。時間さえあれば大好きなヤフードームに足を運ぶ! 毎週末にはボランティア活動に参加。また母校では在学生に就職アドバ イス等も行うアドバイザーとしても活動中。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 4.森林環境教育リレートーク(第19話)  「森林環境教育って、答えはないです…。」 で、今回へ「リレー」されましたので、話すことはないです、では怒られますので、 ちょっと頭を19度ほど回しまして、 「私は森林環境教育で、何を伝えているのか?」 ということを考えてみました。  私が森林インストラクターとして活動していく中で、たくさんの笑顔に出会う ことができました。これが一番の宝物であり、次の活動への活力源です。  と同時に、毎回新しい発見があります。例えば、カタバミとシロツメクサの違い (当たり前ですか?)を知ったこと、竹筒でごはんを炊いた(おいしかった!)こと、 などで、新しくないかもしれません。小さな小さな、でも私の中では大発見!で、 これがもう一つの次への活力源です。  大発見をすると、もっと知りたくなる。ところが森林というフィールドはとっても 奥が深い。生半可ではだめ。無限に学ぶことがある。森林を学ぶと、総合学問 であることがようやく分かりました。自然科学、生物学、化学、経済学、社会学、 歴史学、文化学etc…。  加えて「ねえ、ねえ、すごいこと見つけたよ!」って人に言いたいから、 教育学を含み、話はややこしくなります。そしてこれが知れば知るほど、 酢昆布みたいに味が出て尽きない。面白い。私は、この面白い!を多くの人に 伝えて行きたいと思っています。  「森林を通して環境のことを人に教えよう=森林環境教育」などとは考えず、 「森林や環境について学ぶことが楽しいよ!と、人に伝えること=私の森林 環境教育」でありたいと思います。  雨上がり、杉林から水蒸気の「もや」が出るのがすごいと思うし、水滴が 葉っぱの上を転がるのが面白い。木々が二酸化炭素を吸収しているという ことも見えないけれど「ホー」と思う。山で働くおっちゃんのチェンソーが自在 に動くのもすごいと思うし、山に対し敬意をはらっていることも素晴らしい。 集落の神社のお祭りも歴史があるし意味があり、なるほどと思う。おばちゃん が漬物をつけて、子どもたちが田んぼで走り回っている!村が楽しそうなのが 良い。静かで威厳があるのも良い。様々な顔があるの面白い!。  一方、都会も面白い。ビルの片隅で伸びる樹木もすごいし、たくさんの草花 が生きている。都市公園で和む人を見るのもおもしろい。都会の喧騒もよい。 路地裏の猥雑なものも味がある。計画されたビル群も人工美があり素敵です。 あれ?結局、この世の中のすべてのものが面白く、これを全部伝えるってこと?  これから先、時代が進むにつれ、大切に培われてきた人々の思いや暮らし が、変わっていくと思いますが、大切にしなくてはいけないもの、次の時代を 心豊かに過ごすためのヒントが、森林にはたくさん隠されていると思います。 それは森林が、私たち日本人の生活の中で、一番身近な生命力に溢れた ものだから、かも知れませんね。  そして森林や自然のことを考えると、他をいたわる気持ちや心を養うことも できると思います。自然にやさしいは、他人にも優しい、自分にもやさしい。  とんでもない事件やニュースが多い世の中ですが、さあ皆さん、ほんの ちょっぴり心の目を外に向けて、面白いを見つけましょう。見つけたら是非、 私にも教えてください!  私が伝えるのは「小さな大自然の小さな大発見!」です。  よくわからん話になりましたので、ふくおか森林インストラクターY・K→ しっかり者の熊本県S・Nさん。まとめてください。 【ふくおか森林インストラクターY・K → 熊本県S・N】 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 5.林野庁ホームページのご紹介: http://www.rinya.maff.go.jp/ □記者発表資料 〜プレスリリース  ○「小笠原諸島」の世界遺産暫定一覧表への記載について(1/29)  ○「森林・林業・木材産業分野の研究・技術開発戦略」の策定について(1/22)  ○林政審議会の開催及び一般傍聴について(1/22)  ○第4回木材産業の体制整備及び木材市場の形成・拡大に向けた    基本方針検討委員会の開催について(1/22)  ○平成19年の「みどりの月間」中の主要な緑化関係行事予定について(1/15)  ○「モントリオール・プロセス」事務局の我が国への移転について(1/12) □今月の施策紹介  ○平成19年度林野庁予算の重点事項 □お知らせ  ○UNEP「10億本植樹キャンペーン」に参加しませんか  ○集約化・提案型施業よる森林整備の推進について  ○森林・林業面からの花粉症対策  ○北海道森林管理局・根釧西部森林管理署「人事院総裁賞」受賞について  ○山村力(やまぢから)誘発モデル事業支援対象プランの選定    について(2次公募分)  ○「スギ・ヒノキ花粉に関する情報」についてのお詫びと訂正について  ○「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」    について  ○寒波・雪害による災害対策の概要について  ○「森林(もり)づくりと木づかいのお便り」(林野庁メールマガジン)の創刊    について ********************************* 森林環境教育ネットワークメールマガジン 発行者 肱黒直次 編集者 渡邊純枝 佐藤康弘 URL http://www.zenmori.org/feenet/ ********************************* <編集後記>  私の住む町には猫が多く住んでいるようで、通勤で10分程度往復するだけ でも毎日必ずといっていいほど何匹か見かけます。大抵の猫は自分の世界に 夢中でしらんかおするか逃げてしまうのですが、家のすぐ前の道に出没する 白黒のブチ猫と、最近少しだけ仲良くなりました。  最初は他の猫と同様、しらんかおだったのですが、ある夜、道を横断しようと した猫とはち合わせをしたとき道を譲ってあげてから、何となく猫の方が私を 気にするようになりました。仕事帰りにはち合わせするたび、少しずつ近づい て話しかけたところ、先日ついにお腹を向けて寝っ転がってくれました。  とても些細な出来事なのですが、命あるものの信頼を得るには、時間をか け誠意を伝えることが大事なのだということを実感ました。同時に、人間同士 の信頼関係というのも同様で、必要なときに一方的に求めて手に入るもので はなく、日々の積み重ねによって築きあげられるものだということにあらためて 気づき、そういう単純で大切なことを忘れないようにしたいと、猫のお腹をなで ながら考えました。 *********************************