*********************************            森林環境教育ネットワークメールマガジン                    第 37 号                  平成18年10月2日 *********************************  □今号の目次    1.〈レポート〉「森林環境教育全国シンポジウム」    2.木材のトレーサビリティ    3.フィリピンの森林・林業事情 (11)    4.森林環境教育リレートーク    5.林野庁ホームページのご紹介 **---***---***---***---***---***---***---***---***---***---**  最近、すっかり森林と縁遠い生活を送っています。これではいけないと 思いつつも生まれ持った出不精な性格もあって、すっかりご無沙汰になって しまっています。  そんなことが続いてしまうと、すっかり森林に対する感覚が鈍くなってしまう と思われ、情けない限りです。やはり、森林と日頃から接する習慣を持つこと が大事なのだと、改めて思う今日この頃です。  それでは、今号もよろしくお願いいたします。  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  ◆ネットワーク会員の登録は10月2日現在 No.496に達しました。  ◆イベント情報    9月15日以降、新たに1つのイベントが登録されました。    詳しくは、ホームページ“イベント情報”まで。      →http://www.zenmori.org/feenet/einfo/ **---***---***---***---***---***---***---***---***---***---** 1.〈レポート〉「森林環境教育全国シンポジウム」  本メールマガジンでも、開催のご案内をさせていただいた、「森林環境教育 全国シンポジウム」が9月22日23日の2日間、副題を〜愛知万博・海上の森 から提案する実践的な森林環境教育〜と題して開催されました。  このシンポジウムは、さまざまな経緯を得て開催された、愛知万博の理念や 成果を全国の森林環境教育に活かしていくこと、また、人と自然との関わりの 中で多様な自然環境を有している「海上の森」をモデルケースとして、森林 環境教育推進のための今後の課題などについて、討議や情報交換を行い 「愛知レポート」として取りまとめ、提唱することで、今後の森林環境教育の 発展に寄与することを目的として開催されました。  レポートの提唱にあたっては、 ○森づくりと森林環境教育とのかかわり ○愛知万博を契機に考える市民参加による森林環境教育 ○里山文化の継承から考える森林環境教育 ○動植物との出会い、ふれあいによる森林環境教育 という4つのテーマの分科会が設定され、参加者の方々の様々な意見・アイ デアが飛び交いました。  現在、愛知レポートはの取りまとめの段階ですので、後日改めてご案内させ ていただきます。  今回も、北は秋田から、南は熊本まで、様々な分野の多くの方々にご参加 いただき、私自身、参加者の皆様とお話しできたことは貴重な経験です。  ご参加いただいた、皆様には心よりお礼申し上げます。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 2.木材のトレーサビリティ  最近のスーパーに行くと、食料品に貼ってあるラベルの産地表示がずいぶん 詳細になったような印象を受けます。具体的にいつから変わったかはわかりま せんが、食の安全や不正表示の防止のためには必要な取組みでしょう。  米などには田んぼの写真入りでブランド的趣向のパッケージのものもあり、 安全や産地の表示が単なる必要経費ではないのは明らかです。  さて、木材はどうかというと、需要の大部分を外材に頼っているわが国では 近年違法伐採が大きな問題になっています。  これは日本国内で違法に伐採が行われているという意味ではなくて、日本が 輸入している木材に合法的に伐採されていない木材が含まれているということ です。所有者以外の人間によって盗伐が行われているという調査結果もあり、 牛肉などと比べれば木材のトレーサビリティは大幅に遅れている感があります。  そのような正規のルート以外で入ってくる木材は、合法木材よりも安い価格で 取引されているようで、その結果国際商品である木材の国内価格が減少する ことになります。そのような価格では、伐採の収入で再造林(伐採後の土地に 人の手で苗を植栽すること)の費用を賄うことがより困難になってしまいます。  このような状況の中で、ようやく違法に伐採された木材(と木製品)に対する 動きとして、森林認証や林産・木材産業団体や企業が取り組む合法性証明が 活発になってきました。  国内における木材流通に合法性の証明が付随することで、海外での違法 伐採に反対する基礎となることが予想されます。  さまざまな部品が組み立てられて出来上がる工業製品と違って、木材は加工 や流通の段階で細分化されて製品になります。さらに、木材は体積当たりの 価値が食料品などと比べると極端に低いと言われており、輸送コストを考える と林産業は地域産業としての特徴が色濃くあります。  例えば丸太の販売価格が10,000円/m3とすると、10.5cm角の柱がちょうど 取れる末口16cm、長さ3mの丸太は単純計算で770円です。木材を積んだ船 が数千km離れた外国と取引するのは、資本主義的に間違いではなくても、 やはり無駄が多いやり方であるといえるでしょう。  トレーサビリティからちょっと話がハズれてしまいましたが、国産材にもこれ から産地表示の必要性が出てくるかもしれません。そういったシステム整備と 絡めて、これから家を建てたい人に山を見てもらうとか、丸太に広告として 施業履歴(間伐や枝打ちなどの作業を何年に実施したかなど)を載せるとか、 逆に宣伝効果として利用してみるのも手かもしれません。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 3.フィリピンの森林・林業事情 (11)  フィリピンの森林は、1900年頃までは、国土面積の約70%を占めていました が、第2次世界大戦後の海外からの木材需要拡大や農地・放牧地の拡大など の影響を受け、1980年代にはついに国土面積の20%を切ってしまいました。  フィリピン政府も森林破壊問題を解決しようとあらゆる森林政策を投じてきま した。また、海外からも森林回復のための支援が行われ、各地で植林などが 実施されました。しかしながら、植林を実施しても、きちんと活着して、森林とし て育っていく例は少ないのが現状のようです。  その背景には、牧草地の火入れ作業時の火の不始末等による山火事や 植林のみでその後の手入れが行われていない等の原因が考えられます。 地元住民の意識としても森林が回復することを望んでいることとは思いますが、 地方、特に山間地域に住む人々の多くが、経済的に非常に苦しい状況で、日々 の生活で精一杯なのが現状であり、森林の面倒を見ている場合ではないとい うのが本音だと思います。  森林回復の支援を行うにしても、森林を育てていくには、時間と人手が必要 です。そのことを考慮して、長期の計画を立てる必要があるでしょうし、その 管理を担う地元住民の人員確保も重要なことだと思います。  人工林を造成する以上、人が面倒を見ていかなくては、いくら成長のいい熱 帯でも木は育っていきません。ただ、前述したように、経済的に苦しい地域住民 にとって、森林整備に携わる上でのメリットを分かりやすく提示することは、彼ら のモチベーションをあげる上で必要なことであるし、管理のための組織を作るこ とも必要になってくると思います。  その、組織を形成したときに、その組織がうまく動かしていくには、その組織 を引っ張っていけるリーダーの存在が不可欠です。  私が担当したプロジェクトの住民組織にも頼もしいリーダーがいました。 プロジェクトサイトは2箇所あったので、住民組織も2つあり、それぞれにリーダー がいましたが、2人ともタイプは違うもののしっかりとリーダーシップを発揮して くれました。  ひとりは、地元の高校の先生で、敬謙なクリスチャンでもあり、非常にまじめ で優しい人物で、地域のことや住民のことを考え、このプロジェクトの趣旨も しっかりと理解して熱心に協力してくれました。こういうとフィリピンの人に怒ら れてしまうかもしれませんが、あまりフィリピンでは見かけないタイプの人だと 思います。 リーダーは、損な役回りでもあると思いますが、率先して、皆が敬 遠する仕事も引き受け、また、時には指示を出して、プロジェクトが円滑に進む ように協力してくれました。  もう一人は、その村の村長でもある人物で、彼は、寡黙ではあるものの責任 感が強く、彼が動けば、皆それに賛同し、自然に多くの人が集まってくるといった 人望も厚い人物です。手先も器用で、溶接でも何でもこなしてしまうオールラウ ンドな人物でした。  こういった2人のリーダーを中心にプロジェクトは進行していったわけですが、 今後も組織がひとつにまとまり長期に渡って、森林を維持管理していけることを 願っています。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 4.森林環境教育リレートーク(第17話) 「樹?になること (樹木医)」 突然、古い話で恐縮です。  昨年5月、傷を負った縄文杉の診断・手当てのため、5年ぶりに縄文杉に 会いに行った。傷の安定には10年 単位の年月を必要とするでしょう。 かって登山道が近くを通っていた頃の傷の腐朽は、今だに進行中です。 4時間半かけて縄文杉に会いに行き、記念のつもりで、軽い気持ちで傷つける に至ったと考えられる。私を含め誰もが、つい犯しやすい種の行為だと言える。 その後、積雪の重量で大枝が落下した。皮肉なことに、最近葉量が増え茂って きていた部分の枝が、折れてしまった。こうなると、縄文杉にとって枝葉が茂る のは、いいこと?。悪いこと?・・・・・。  9月には、国の特別天然記念物喜入のメヒルギの枯死が始まり、救出作業を 行ったが群生の約4割の確保が限度であった。南部群生地の樹齢80年前後 をはじめ6割かたは、すでに手遅れであった。7月末の豪雨による土砂体積は、 厚さ400mmに達していた。河川流路変更・消波ブロック設置を含む人為的 要素も主たる原因と考えられた。  動物園の動物たちを、「さあ、自由にさせてやるぞ。」と、突然森に放ったから と言って、動物たちは自分でエサを取り、自活して行けるだろうか。  縄文杉も、喜入のメヒルギも人為が加えられた以上、ある程度自活して行け る様になるまでは、サポートしていく責務が人間には生じている。   ヒートアイランド現象真っ只中の市街地で、永年鎮守の杜を守り続けて来ら れた方々が、樹木を再生し次世代へしっかりとバトンタッチする為の取り組み が始まる。この10月から、そのお手伝いをさせて頂くことになった。立場上、 身近な生活圏にある1本1本の樹木を対象とする活動を通じ、街中から自然 とヒトのより良い関係を模索しています。 日?樹木医事務所&草庵 K.H ――――――――――――――――――――――――――――――――― 5.林野庁ホームページのご紹介: http://www.rinya.maff.go.jp/  □記者発表資料 〜プレスリリース   ○主要木材の短期需給見通し(平成18年第4四半期及び平成19年     第1四半期)」について(9/29)   ○「平成18年木材(用材)需給見通しの見直し」について(9/29)   ○平成17年木材需給表(丸太換算)の概要(平成17年1月〜12月)(9/29)   ○ピングー&ピンガを活用した新たな木づかい運動のポスターについて(9/26)   ○第5回「森の“聞き書き甲子園”」参加高校生と森の名手・名人の     組み合わせの決定について(9/26)   ○平成18年(6月〜7月)梅雨前線豪雨災害に対する災害関連緊急治山等     事業による緊急的な対策について(第2報)(9/25)   ○パイロットフォレスト造成50周年記念事業について(9/25)   ○間伐推進強化期間の取組について(9/25)   ○第3回木材等輸出戦略検討会の概要について(9/15)  □今月の施策紹介   ○新たな森林・林業基本計画   ○国産材、使って減らそうCO2  □お知らせ   ○山村力(やまぢから)誘発モデル事業支援対象プランの選定     について(2次公募分)   ○「スギ・ヒノキ花粉に関する情報」についてのお詫びと訂正について   ○「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」     について ********************************* 森林環境教育ネットワークメールマガジン 発行者 肱黒直次 編集者 渡邊純枝 佐藤康弘 URL http://www.zenmori.org/feenet/ ********************************* <編集後記>  9月8日、新たな森林・林業基本計画が閣議決定されました。  前回(平成13年)の計画では、森林・林業基本法が同年に成立したことも あって、森林・林業に関する政策のあり方や計画制度に関する見解などが 活発に議論されました。  当時、特に話題となったのが機能区分に関することで、それぞれの森林に ついて三つの区分のどれかがあてはめられ、望ましい姿へと誘導していくと いうことでした。  その後の5年間の推移について、いろんな見解があると思われますが、 いずれの機能にせよ、これまで以上に様々な立場の人々が積極的に森林 に関われる環境づくりが欠かせないように思います。 *********************************