*********************************            森林環境教育ネットワークメールマガジン                    第 33 号                  平成18年7月14日 *********************************  □今号の目次    1.森林環境教育ネットワークホームページの紹介について    2.森林の多様な利用に関する調査報告 −その1−    3. 「平成18年度 間伐・間伐材利用コンクール」応募作品の募集について    4.七夕にちなんで?     5.森林環境教育リレートーク    6.林野庁ホームページのご紹介:特報版 **---***---***---***---***---***---***---***---***---***---**  どんよりした雨雲に覆われた梅雨空の下、湿気を大量に含んだ生暖かく そして重たい空気につられ身も心もどんよりしがちですが、この時期、あちら こちらで可憐な花を咲かせているクチナシの甘くやさしい香りが、梅雨の重苦 しさをひととき忘れさせてくれます。偶然のひとときが、あわただしい生活の中 では、気持ちをリセットできるとでも大切な時間になったりしますね。  それでは、今号もよろしくお付き合いください。    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  ◆ネットワーク会員の登録は7月14日現在 No.469に達しました。  ◆イベント情報    詳しくは、ホームページ“イベント情報”まで。      →http://www.zenmori.org/feenet/einfo/ **---***---***---***---***---***---***---***---***---***---** 1.森林環境教育ネットワークホームページの紹介について  このたび森林環境教育ネットワークホームページがプチリニューアル!  もうすでにお気づきの方も多いかとは思いますが、何カ所かホームページを 改修しましたのでお知らせします。その中でも特徴的なところは、  (1)「森林環境教育事例集」    今回、新しく設置したコンテンツです。全国各地で様々な森林環境教育の   取り組みが行われていますが、実施者の方々が豊富な経験に基づくアイデ   アから、工夫を凝らして作成された事例集や教材を掲載しました。  (2)「森林総合利用施設」    以前からコンテンツの中にありましたが、施設の登録(新規で登録され   る場合には会員登録が必要)がHPの画面からユーザー自身により自由に   でき、内容の修正等も  行えるようになりました。施設運営者様自らの手   で機動的にアップデートすることができるようになりました。  (3)「ネットワーク会員リスト」    登録会員も500に近づき、検索性が落ちているため、都道府県別で抽出   することができるようになりました。仲間さがし等に役立てて下さい。  現在、森林総合利用施設は420施設を掲載し、森林環境教育教材集につい ては18事例が掲載されていますが今後とも可能な限り情報を増やしていきた いと思っております。みなさまからの施設の情報提供、教材の提供をお願いす ると同時に、積極的なご利用をお願いします。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 2.森林の多様な利用に関する調査報告 −その1−  林野庁では、平成13年度より都道府県にお願いし、森林環境教育等に関 する様々な実施状況を把握するべく、森林の多様な利用に関する調査を実施 しています。  昨年に引き続き平成17年度の結果を含めて紹介します。今号では、 「里山林の保全・整備・利用に取り組むNPO等団体数」に関する調査結果を 報告します。  この調査は、都道府県や市町村といった行政主体の取組に加え、里山林の 保全・整備・利用の新たな担い手として注目され、期待されているNPO等の 民間団体の組織数等を中心に把握しているものです。(なお、ここで記してい るNPO等とは、NPOの法人格を有する団体の外、任意の団体までも含めて 調査しています。)  団体数は、   平成13年度:  458団体   平成14年度:  555団体   平成15年度:  657団体   平成16年度:  900団体   平成17年度:1,154団体 と、調査を開始した平成13年度からは3倍弱の増加となりました。  活動団体の多くは市民によって結成された団体ですが、企業がNPO法人を 設立し、里山林の保全等に取り組むケースも年を追うごとに増えています。中 には、障害者と地域住民との交流のために、森林整備活動を行っている障害 者ボランティア団体や、県内の少年野球チーム等から参加を募り、青少年の 健全育成の場として森林における環境保全活動を行う団体などもありました。  具体的な活動内容は、里山林をフィールドとした枝打ち・除伐・間伐・下刈り 等の林業体験活動、遊歩道等の整備、炭焼き体験、木工教室の開催が主なも のでありますが、そのほかツリーハウスづくり、森の料理教室、森林コンサート、 ビオトープの整備、都市住民による水源地の森林整備等が行われているケース もあります。ちなみに「かんじき」を履いての山歩き、イグルー(※)づくりなど 積雪期ならではの活動やイベントを催している事例もありました。  次号は、都道府県等における指導者養成の状況をご紹介します。 (※)イグルー:もとはイヌイット語で家の意味。雪をブロックに切り半球形に積み    上げて作るカナダ−イヌイットの一部にみられる住居形式 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 3.「平成18年度 間伐・間伐材利用コンクール」応募作品の募集について  間伐推進中央協議会(全森連など森林・林業関係18団体で構成)では現在、 「平成18年度 間伐・間伐材利用コンクール」を実施しています (募集期間:平成18年7月1日〜8月31日まで)。  健全な森林を育成し、国土保全、水源涵養、地球温暖化の防止など、森林の 多様な機能を発揮するためには、間伐を推進し、さらには間伐材利用を促進し ていくことが重要な課題です。  本コンクールは、間伐推進にむけたこれらの課題をふまえ、間伐および間伐 材利用に関する実践例やアイディア製品を募集し、広く紹介することを目的に、 平成12年度から実施されてきました。  募集内容は、当初は間伐推進と間伐材利用に関する2部門で実施されてき ましたが、近年ボランティア団体等の取組が注目されていることもあって、現在 では以下の3部門で募集しています。 A.「林業事業体による森づくり」部門 B.「森林ボランティア団体等による森づくり」部門 C.「暮らしに役立つ間伐材利用」部門  「かんばつホームページ」(http://www.zenmori.org/kanbatsu/)に、応募 方法や過去の受賞団体等の詳しい情報が掲載されていますのでぜひご覧 ください。  なお、応募申込書の提出期限は、平成18年8月31日(木)までですので、 これはと思われた方はご応募してみてはいかがでしょうか。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 4.七夕にちなんで?  7月7日は七夕でした。旧暦で行うところはまだ先ですが、新暦の七夕は 殆どの地域で梅雨が明けきらないうちにその日を迎えます。そのせいか曇りや 雨になる確率が高く、今年の7月7日も曇りでした。  何年かぶりに笹を飾り、七夕を祝おうと意気込んでいたのでとてもがっかりし ました。今回は七夕にちなんで、竹と笹のお話をしたいと思います。  みなさんは、竹と笹の違いをご存じでしょうか。大きいものを「竹」、小さいも のを「笹」と呼ぶイメージが一般的なようです。  しかし、オカメザサは「ササ」とつくのに竹の仲間であり、ヤダケやメダケは 「タケ」とつくのに笹の仲間であるというように、大きさや名前だけで一概に判 断はできません。どちらもイネ科に属するという点では同じです。植物学的に は、樹木でいうと幹にあたる「稈(カン)」にあるボコっとした節の部分に、タケ ノコの頃についている皮が、成長すると落ちてしまうのを「竹」、そのまま残って いるのを「笹」としています。他にも、「竹」は北海道や高山地帯には通常自生 しないのに対し、「笹」は自生するといった分布の相違や、開花周期にも違いが あるようです。  両者とも開花周期は数十年から長いもので120年と種類によって様々です が、数十年に一度一斉開花し、開花後一斉枯死することは有名です(例外もあ ります)。凶事の前触れとして恐れられている地方もあるようですが、個人的に は一度は生で見てみたい光景です。  竹林について。「竹林」と聞いて、みなさんはどんなイメージを持つでしょうか。 かつて竹林は生活の一部として、人間にとって無くてはならない存在でした。 タケノコを採るだけでなく、丈夫で軽く弾力性があり加工もしやすい竹は、建材 として利用されるだけでなく、工芸品・生活用品・遊具等様々なものの材料とし て使われてきました。屋敷林、里山など人間が入り利用することで竹林も整備 され、風・地震・地崩れ等から家や田畑を守ってくれていました。  現代、薪炭林と同じように人間が生活の場として利用しなくなったことで、竹 林は日本の多くの森林にとって脅威となっています。竹は種類によって1日で 70cm伸びることもあるほど生長が早いので、他の樹木の追随を許しません。 その上、かつて人間を守ってくれていた竹の根は、1mほどの深さで地面を広く 覆うので、一度張ってしまったネット状の根の中に樹木の根はなかなか入り込む ことができず、あっという間に竹ばかりが繁茂し、拡大していきます。  昔のように竹が利用されることも減り、手の入らなくなった竹林は他の森林と 同じように、暗く災害に弱い森になってしまいました。  各地で竹林対策がなされているようですが、地下茎で増える竹を抑えるの はなかなか困難であると思います。また、せっかく伐っても利用しづらいのが 現状で、かつて竹製だったものもプラスチックをはじめとする代替品によって、 低コストで大量生産出来るようになり、民芸品などのこだわりがない限り、わ ざわざ竹を使う必要がなくなりました。  竹はいろいろなものに加工できる反面、唯一竹でしかできないものはタケノコ 位ではないでしょうか。竹でしかできないこと、竹林でしかできないこと。それを 見つけうまく利用する術が広まれば、竹林とも仲良く付き合っていけるのでは ないでしょうか。  ずいぶんと離れてしまいましたが、最後に七夕の話に戻します。新暦の七夕 は終わってしまいましたが、旧暦の七夕がまだ残っています。旧暦の七夕は、 今年は新暦でいう7月31日だそうで、もう一度空に願いをかけてみようと思っ ています。織姫や彦星に思いをはせる際、一緒に笹や竹のことを少しだけでも 考えてくれる方が増えるといいなと思います。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 5.森林環境教育リレートーク(第13話) 「視覚障害者を通して森を見る」  参加者から気付かされた自然体験の重要性について紹介された前走者の お話しを受けて,この機会をお借りして,視覚障害者向けに実施してきた森林 環境教育の取り組みのなかで私自身が参加者から気付かされたことをご紹介 します。  視覚障害者の方々と共に「森の時間」を過ごすようになったのは, 2001年か らです。全国視覚障害児(者)親の会の森の中での催しに,いくつかの偶然が 重なって講師を依頼されたことがきっかけです。それまで,視覚障害者の方々 を対象とした森林環境教育の経験がなかった私は,同じく環境教育に携わる 妻と共に,視覚を使わずに触覚や嗅覚そして聴覚を利用して,誰もが楽しめる 森林体験アクティビティーを携えて,みなさんを森の中へと誘いました。  アクティビティーをはじめた瞬間,それは起こりました。樹木の葉を手にした視 覚障害者の方々の触覚がなんと繊細なことか!そして,視覚障害者の方々が 触察(触覚による観察)を通して次々と発見する事柄が,私たち企画者側にとっ て,とても新鮮だったのです。  このとき直感で,視覚障害者の方々と森林環境教育を展開することで,晴眼 者(視覚に障害のない者)に森林を見る新たな視点を提供することができるの ではないかと思い至りました。  以来,今日に至るまでいくつかの助成事業の助けを借りながら,視覚障害者 向けに広葉樹林・針葉樹林の探検,伐採体験,炭焼き体験活動や,五感を使っ た樹種識別講座である「樹木ソムリエ養成講座」を実践してきました。最近は, 音を利用して森林景観を把握する方法を開発することが課題です。  一連の活動は,自らの研究上の専門である樹木年輪年代学から,学習教材 が派生させる原動力にもなりました。触察によって年輪構造を把握することの できる「触ってわかる年輪教材」や,年輪幅の広狭を音で把握する試みである 「年輪音楽」などが,代表的な視覚障害者対応の年輪教材です。  いずれの活動においても,「視覚障害者を通して森を見る」ことによって新た な物の見方を学んできました。そして,その新しい視点は科学の本質を突いて いるというだけではなく,とても楽しいのです。現在は,この新たな発見の楽し みをより多くの方々に体験してもらうために,視覚障害者から森林環境教育 指導者を育成することを目指しています。  みなさんもぜひ,参加者の裾野を大きく広げてください。ちょっとした見方の違 いが,新たらしい発見をもたらすことをみなさんも実感するはずです。そして,そ れは誰にとっても楽しいはずです。 愛媛大学農学部附属演習林 O.K.→鹿児島大学農学部附属演習林 Y.K. ――――――――――――――――――――――――――――――――― 6.林野庁ホームページのご紹介: http://www.rinya.maff.go.jp/  □記者発表資料 〜プレスリリース   ○平成18年度 第3回水源林造成事業期中評価委員会の開催に     ついて(7/12)   ○林政審議会の概要について(7/11)   ○森と湖に親しむ旬間の実施について(7/7)   ○平成18年度 第2回緑資源幹線林道事業期中評価委員会の開催に     ついて(7/5)   ○山地災害危険地区の再点検の実施について(7/3)   ○日中民間緑化協力委員会・第7回会合の結果概要(7/3)  □今月の施策紹介   ○山地災害に備える   ○平成17年度森林・林業白書について  □お知らせ   ○新たな森林・林業基本計画の策定に向けて   ○平成18年度山村力(やまぢから)誘発モデル事業の2次公募について   ○「スギ・ヒノキ花粉に関する情報」についてのお詫びと訂正について   ○「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」     について   ○寒波・雪害による災害対策の概要について   ○「森林(もり)づくりと木づかいのお便り」(林野庁メールマガジン)の創刊     について ********************************* 森林環境教育ネットワークメールマガジン 発行者 肱黒直次 編集者 渡邊純枝 佐藤康弘 URL http://www.zenmori.org/feenet/ ********************************* <編集後記>  冒頭で話題にしたクチナシの名前はその果実に由来しているそうです。 一説には、秋に実るこの果実が、熟しても裂開しないことを口を開かないこと に例えて「口無」と呼ぶようになったそうです。  熟した果実は昔から漢方薬の原料として使われたり、食品や衣服の染料とし て使われてきました。また花弁は食用にもなり、ほのかな甘みがありサラダや 煮物にできるとのこと。  人間に例えるならば、寡黙で人の役に立つ人ということでしょうか。  ちなみに花ことばは「清楚」「私は幸福」だそうです。  見習うべきお手本は、自然の中にたくさんあるのですね… *********************************