*********************************         森林環境教育ネットワークメールマガジン                第 22 号              平成18年1月13日 *********************************  □今号の目次    1.連載:森林環境教育道しるべ(1)「人と森林とのつながりを取り戻す」    2.<レポート1>子ども樹木博士リーダ交流会    3.<レポート2>エコプロダクツ2005    4.森林の境界について    5.森林環境教育リレートーク    6.林野庁ホームページのお知らせ   **---***---***---***---***---***---***---***---***---***---** あけましておめでとうございます。  全国各地から「観測史上初の・・・」といった形容詞つきで寒気や豪雪の ニュースが聞こえてきますが、皆さんのところはどうですか。被害は地域的・ 局所的であると同時に、お年寄りなどの環境弱者に被害が集中しているという 意味で、被害が差別的に現れているなぁという感を強く持ちます。  耐震構造偽装で被害に遭われた方々もそうですが、「運が悪い」だけでは 済まされないような話が多いですね。これまでに堆積してきた構造的な問題 がいろいろな形で噴出してきているような・・・・。  とにかく、今日当たりから寒気が緩むようで、雪崩など二次的な被害も心配 されます。雪国のみなさま、十分にお気をつけ下さい。  さて、前置きが長くなりましたが、今回は2006年初のメルマガです。 森林環境教育ネットワークの環を大きく広げるべく、今年は、新企画満載で 張り切っていきますよ。ご愛読の程、よろしくお願いいたします。  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  ◆ネットワーク会員の登録は1月13日現在 No.391に達しました。  ◆イベント情報:詳しくは、ホームページ“イベント情報”まで。 **---***---***---***---***---***---***---***---***---***---** 1.メルマガ1周年記念企画 連載:森林環境教育道しるべ(1)  林業、教育、暮らし、そして環境のなかで起きている様々な問題の解決に向 けてはじまった、森林環境教育。全国各地でさまざまな活動が行われておりま すが、はたしてその向かう先は?  昨年11月に開催された「森林環境教育戦略会議2005in白川郷」でも、さま ざまな立場の方たちのさまざまな意見が飛び交ったように、その目指すところは 1つではなく、そこへたどり着くための道もまたさまざまであると感じました。  その道しるべの1つを探るべく、メールマガジン配信1周年を記念して、森林環 境教育推進委員の方々に、森林環境教育に寄せて想いを語っていただきました。  今号より6回に渡って連載の予定です。どうぞお楽しみに! 「人と森林とのつながりを取り戻す」 特定非営利活動法人JUON(樹恩) NETWORK 事務局長  鹿住 貴之  平成14年度森林・林業白書によれば森林環境教育とは、「森林内での様々 な活動体験等を通じて人々の生活や環境と森林との関係について理解と関心 を深める」ための教育です。これを私は、「人と森林とのつながりを取り戻すた めの教育」だと理解しています。  私のような高度経済成長以降に生まれた世代は「木を伐ってはいけない」 と教えられてきました。これは、外国の原生林破壊が問題となり、メディアに 取り上げられた影響が大きいのでしょう。ところが一方では、私の知らないとこ ろで、日本の森林が手入れをされずに放置されていることが問題になっていた のです。近くにある森林よりも外国の森林についての情報の方が耳に入ってく るということは、都市では特に森林とのつながりが断ち切られていたという皮肉 でしょう。  現在私たちは化石燃料、特に石油に依存する生活をしています。しかし、石 油はあと50年でなくなると言われています。つまり、枯渇するエネルギーに 頼っている私たちの暮らしは、持続可能ではありません。50年後には新しい 油田が見つかっているから大丈夫だと言う人もいるかもしれません。しかし、必 ず石油は枯渇するものであり、また、全部使い切る以前に地球温暖化や大気 汚染等によって人類が生存できない環境になってしまうのではないでしょうか。  かつて、日本には森林を中心とした持続可能な循環型の社会がありました。 これを再び現在にあった形で再構築する必要があるのでしょう。つまり、私たち は森林とのつながりを再び取り戻す必要があり、そのために大きな役割を発揮 するのが森林環境教育だと考えています。  私が事務局をしているJUON NETWORKの活動目的は、都市と農山漁村の 人々を結び、過疎化や過密化がもたらす問題を解決することです。私の意識と して当初は、過疎地域の活性化ということを中心に考えながら活動をしていま した。しかし、最近それよりも強く感じるのは、農山村から都市が学ぶべきこと の方が多く、都市のあり方を変えていかなければならないということです。今後 も森林環境教育という中で、過疎地域の人々の知恵、都市の人々の知恵を出 し合いながら、持続可能な社会を目指して活動を進めていきたいと考えています。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 鹿住 貴之(特定非営利活動法人JUON(樹恩) NETWORK 事務局長) 1972年生まれ。98年大学生協の呼びかけで設立された、都市と農山漁村 を結ぶ特定非営利活動法人JUON(樹恩) NETWORKに事務局スタッフとして参 画。99年3月より事務局長。その他、東京ボランティア・市民活動センター運営 委員、森づくりフォーラム理事、森林環境教育推進委員等、様々な市民活動に 携わっている。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 2.<レポート1> 子ども樹木博士リーダ交流会  20号で開催をお知らせした「子ども樹木博士リーダー交流会」が12月17日 土曜日午後に東京農大で開催されました。会長である日大の木平教授の進行 により、東京農大の箕輪教授の講演、同じく東京農大の宮林教授の野外コース 案内と豪華メンバーが次々に登場する、総勢35名での交流会となりました。  活動報告では、高尾森林センターの藤田氏から、雨が降ってもできるイベント を探していたのがきっかけとなったこと、午後に木工体験を組み込んで親子で 1日楽しめるイベントとしていることなどが報告されました。茂原大好き自然ク ラブの望月氏からは、敷居を低くするために「クイズ」と言ったり、学年毎に難 易度に差をつけたりといった工夫をしていること、地元の青年会議所と共同で 行った事例などが報告されました。日大は木平教授の指導の下に学生を組織 化し活動をマニュアル化することにより、教える側の学生にも実りの大きいもの となっており、いくつかの地元の小学校からは定期的に活動の要請を受けてい るなど、その活動は目覚ましいものがありますが、今回もその活動の一端につ いて松本氏から報告がありました。北海道森林管理局駒ヶ岳・大沼森林環境 保全ふれあいセンターの福浦氏からは、常設コースを設定し、樹木博士の延べ 認定数が約千人にも達していること、17年度は最高で4段を取る子どももいるこ となどが報告されました。  その後、認定テストを厳粛にやるべきか、楽しさを優先すべきかということなど が話題に上りましたが、これについては定着したイベントとしてリピーターが多い 場合には厳しめに、単発の公募イベントとしてやるときには楽しさを優先するのが いいのでは、いずれにせよパターン化せずにそれぞれの地域の事情に合ったや り方で進めればよいのでは、などの意見が出されました。  子ども樹木博士の活動に興味を持った方は、全国森林レクリエーション協会の ホームページにどうぞ。(H.0) ――――――――――――――――――――――――――――――――― 3.<レポート2>エコプロダクツ2005  「地球と私のためのエコスタイルフェア・エコプロダクツ2005」が、東京有明 の展示場を会場に12月15日〜17日の3日間に渡って開催されました。  天候にも恵まれた今回は、出展者数、来場者数ともに過去最大となったそうです。  会員の皆さんの中にも、行かれた方が多いかと思います。環境に対する意識 の高さをうかがうことが出来ました。  私は、17日に拝見させていただきました。よく目にする有名企業から都道府県・ 市町村等の自治体、NPO団体まで、業種も一見して環境関連とわかるものから、 あまり環境問題とは関係ないのではないかと思える団体まで、多種多様な方々 が出店されていました。  来場者の方々も、スーツを着た仕事の関係と推測される様な方からリュックを 背負った小学生までこれも様々でした。  繰り返しになりますが、環境問題が社会に浸透しつつあると実感しました。  また、このイベントが環境問題や自然とは言わずに「エコ」と言っているところ が、とっかかり易くて良いのではないかと思います。さらには、会場の雰囲気も 地球の自然を守ろうと肩ひじを張ることなく自然体で、しかもちょっとおしゃれに 環境問題に取り組める姿勢が好感を持てました。  当日は、同会場で併せて〜つなげよう!学校と環境教育〜スクール・エコ・ フォーラムが開催されました。元NHK週間子どもニュースキャスターの池上彰さ んを司会に、トヨタ白川郷自然學校校長の稲本正さんを始め、都内に勤務する 先生と福井県で環境教育に携わる民間企業の方をパネリストに行われました。  環境教育を進める上で、学校の存在は欠くべからざる存在なのですが、実際 の学校現場では、環境教育よりもペーパーテストの点数を重視する校長先生が いたり、ケガや事故を大げさに騒ぎたてる保護者がいたりと、大変なのだとおっ しゃっていました。  さらには、導入が検討されている小学校での英語授業にも話しが及び、週5 日制やゆとり教育と言われる一方で、やらなければならないことが年々増加し ているともおっしゃっていました。  それに対して、保護者や地域は、全てを学校に求めるのではなく、また学校側 も全てを学校で処理するのではなく、学校・行政・地域・企業・NPO・保護者など が垣根を低くし、互いに相手を知り協力することが必要との意見が出されました。  エコプロダクツは、来年度は規模を拡大して開催の予定だそうです。  ――――――――――――――――――――――――――――――――― 4.森林の境界について  日本の国土の約7割は森林が占めています。そして、この森林にはそれぞれ に所有者がいます。最も大きな所有者は国でその森林は国有林と呼ばれてい ます。そのほかに都道府県や市町村が所有する公有林、個人で所有する私有 林があります(森林組合は、これら私有林の所有者が組織する協同組合です)。  また、古くから集落単位での共同利用が行われていた森林があって、これら は入会林野と言われています。  こうした森林の所有形態は、歴史的な経緯があって今日のような形になった わけですが、森林の所有権を確定するということは、隣接する所有者同士で境 界を定める必要があります。ところが、最近になって、所有者の高齢化や不在 村森林所有者が増えてきたといった影響もあって、境界が分からない森林が多 くなってしまい、森林の適正な管理にも支障をきたすような状況となっています。  この問題は、時間が経過するほど境界の把握が困難になってしまうという問題 特有の性格もあって、早急な確認作業が求められています。そのため、森林の 境界を確定する地籍調査が進められています。そして、地域の森林に精通して いる森林組合が、これらの調査に一役買っています。  森林環境教育活動の推進にあたっては、活動フィールドの確保が大きな課題 となっていますが、活動の受け入れに対する森林所有者の理解を進めるとともに、 こうした境界の確定作業も不可欠なことと思われます。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 5.森林環境教育リレートーク 「危険から学ぶ」  せっかくキャンプに出かけたのに作業が進まず、日が暮れてしまった時にどう したらいいか・・・、日帰りの予定であれば、おとなしく帰宅するのがやはり無難 ではないでしょうか。  登山などでは登頂目前、天候不順や事故などのために下山するか否かの判 断を下さなければならない時、下山の判断を下すことはとても難しいと聞いたこと がありますが、悪条件が重なった場合、たとえ大好きなことや楽しいことであって も途中で諦める勇気が時には必要です。  山に入って危険なことに遭遇した経験が一度だけあります。小学生の頃、友達 3人で探検などと称して、歩道すらない里山を歩き出してみました。見慣れた里 山で土地勘もあるつもりで歩きつづけていると、ある時、何処にいるのか全く分か らなくなってしまいました。  「嗚呼、どうしよう!!」、みんな泣きっ面になってひたすら歩きつづけている と、途中でナイロンテープが巻かれた小さな木を発見、そして小さな沢を見つけ、 流れに沿って下流へと歩きつづけていくと間もなく、見慣れた集落の姿を確認 することができました。  今思えば、それほど山深いところで迷っていたわけではなく、長時間歩き続け ていたわけでもないのですが、集落を見つけた時の安堵した気持ちと、迷ったと きの恐怖は今でもはっきりと記憶しています。  そんな事件を経験したことで、山の中を歩くには、土地に関するいろんな情報 が必要であることや、地域の山に詳しい人から話を聞くことの大切さなど、多くの ことを学びました。 全森連T・K → T・K ――――――――――――――――――――――――――――――――― 6.林野庁ホームページの御紹介 http://www.rinya.maff.go.jp/ □記者発表資料〜プレスリリース〜  ○林政審議会施策部会の開催及び一般傍聴について  ○平成17年度特殊地下壕実態調査中間取りまとめについて  ○平成16年度林業機械保有状況調査結果の概要について  ○「主要木材の短期需給見通し    (平成18年第1四半期及び平成18年第2四半期)」について  ○林業用手持機械の振動・騒音測定値について □今月の施策紹介  ○保安林制度・治山事業・林地開発許可制度 □お知らせ  ○「森林(もり)づくりと木づかいのお便り」(林野庁メールマガジン)の創刊に    ついて ********************************* 森林環境教育ネットワークメールマガジン 発行者 肱黒直次 編集者 黒澤 徹 多田裕一 URL http://www.zenmori.org/feenet/ ********************************* <編集後記>  農林水産省によりますと、平成16年の林業産出額は4,374億円で前年より 2.5%の減少をみたということです。温暖化対策のために間伐などの森林整備 対策は進めているはずだと思うのですが、林業を回復軌道に乗せるには至って ないということでしょうか。森林ボランティアなどが増えていることは喜ばしいこと ですが、やはり、本業の林業が元気にならないと温暖化対策全体が頓挫して しまいます。  こういう問題意識が背景にあるとは思うのですが、来年度予算の目玉の一つ が「新生産システム」という事業です。全国10カ所のモデル地域を対象に、 それぞれの地域で10万m3以上を産出できるような山側の素材生産体制とと もに、合理的な流通・加工体制とをセットで構築していこうとの野心的な取り組 みです。かつて「国産材時代」のかけ声の下、90年代に生まれた流域管理シ ステムが、いつの間にか色あせてしまった中で、今回の事業が、その焼き直し に過ぎないものなのか、それとも、新たな展開を生むものなのかが問われると 思います。確かに、十年前と違うことは、日本の人工林が成熟してきたというこ とであり、材価の低迷も言葉を変えれば国際競争力を持った価格体系となって きたという見方もできると思います。事実、零細な森林所有者をとりまとめて効 率的な間伐作業を進めて儲けている人たちも現れており、こうした状況を捉え て日本の人工林を「宝の山」と断言する研究者も現れています。本当に宝の 山となって、今年が日本の林業復権の元年になることを祈るばかりです。 全国の皆さまも、日本林業の行く末をよく見守っていてください。 *********************************