*********************************        森林環境教育ネットワークメールマガジン              第 17 号             平成17年10月14日 ********************************* □今号の目次   1.「国産材、つかって減らそうCO2」        〈平成17年度木づかい推進月間について〉   2.「森林環境教育の事例紹介」について   3.森林環境教育の哲学        〜内山節著『「里」という思想』(新潮選書)から〜   4.フィリピンの森林・林業事情?   5.林野庁ホームページの御紹介 *********************************  朝夕の通勤・帰宅時、どこからともなくフッと漂ってくるあま〜い香りに秋を 感じている今日この頃。この時期、街を彩る香りの正体がキンモクセイですが、 みなさんお住まいの地域ではいかがでしょうか。  キンモクセイの原産地は中国。漢字では「金木犀」と表記しますが、この「木犀」 という言葉は漢名の音読みで、樹皮の模様が動物のサイに似ていることに由来 しているそうです。サイの肌・・・?可愛らしい小さな花とはちょっと不釣り合いな 名前だと感じてしまいました。  花言葉は「謙遜」。すばらしい香りを放つのにも関わらず、花は意外と地味な ことからだそうです。 素敵・・・ サウイフモノニ   ワタシハ   ナリタイ えっ。 キンモクセイにはオスとメスの木があって、日本にあるキンモクセイの木のほと んどがオスの木! ・・・訂正    サウイフモノニ   ワタシハ   アイタイ・・・・・ では、今号もよろしくお付き合いください。 ● 会員専用掲示板今月のお題は引き続き「野外活動で役立つアイデア」です。   よろしくお願いします。   ********************************* ☆ネットワーク会員の登録は10月14日現在 No.375に達しました。 ☆イベント情報    9月30日以降、新たに2つのイベントが登録されました。    詳しくは、ホームページ“イベント情報”まで  ********************************* 1.「国産材、つかって減らそうCO2」        〈平成17年度木づかい推進月間について〉  林野庁では国産材の利用拡大に向けた普及啓発活動を強化し、平成17年度 から「木づかい運動」として、PR活動を展開しています。特に10月を「木づかい 推進月間」として定め、集中的な取り組みを実施しています。  主な取り組みの内容としては、以下のとおりです。 ・キャンペーンポスターの作成    http://www.rinya.maff.go.jp/puresu/h17-9gatu/0930-b1.pdf ・統一ロゴマークの作成    http://www.rinya.maff.go.jp/puresu/h17-9gatu/0930-b2.pdf ・木づかいシンポジウムの開催  〜国産材の利用が日本の森を元気にする〜    http://www.rinya.maff.go.jp/puresu/h17-9gatu/0930-b3.pdf  みなさんも、町でポスターやロゴマークを見つけて下さい。  また、重要なのは、一人でも多くの方々にこの活動を知っていただくことです。  お知り合いや、ご友人に”どしどし”教えて下さい。  2.「森林環境教育の事例紹介」について  現在、日本各地で様々な主体により様々な森林環境教育の取組が行われて います。  林野庁では、森林環境教育の普及を図るため都道府県を通じ事例を収集し 林野庁ホームページで公開しております。  今回は、以下の3つの特徴に該当する事例をご提供いただきました。 ?長期的な滞在を行う森林環境教育活動(12事例) ?民間企業との連携等による森林環境教育活動(6事例) ?NPO等との連携等による森林環境教育活動(23事例)  ご覧いただき、森林環境教育活動の参考にして下さい。  森林環境教育の事例紹介HP  http://www.rinya.maff.go.jp/policy2/f-education/main3-2.html  今回の事例の提供で驚いたののは、ほとんどの団体が「今後の課題」として、 問題意識を持って活動に取り組んでいることです。  課題として特徴的なものとしては、以下の様なものです。 ・森林体験学習等を指導する人材の確保。 ・謝金や備品購入に要する資金不足。 ・活動後の参加者の意識の変化等の追跡調査が必要。 ・長期的な滞在を伴う場合の施設や学校等との日程調整が困難。 ・フィールドの確保が困難。 ・イベント内容のさらなる充実。 ・地域との連携の強化。  これらの課題は、いずれも一朝一夕に解決するものではありませんが、解決 のキーワードは、「ネットワーク」ではないでしょうか?  ネットワークがあり、頻繁に情報や意見の交換が行われていれば、例えば、 人材不足については、指導者等の相互交流により解決出来るであろうし、活動 資金の問題は、支援をいただける企業を紹介いただけるのではないでしょうか?  甘い考え方かもしれませんが、活動の評価が高い団体は、それに比例して 広いネットワークを有しているようです。  この「ネットワーク」が、みなさんの「ネットワーク」作りに役立てば幸いです。 3.森林環境教育の哲学        〜内山節著『「里」という思想』(新潮選書)から〜  森林環境教育には、「森林内での様々な活動体験等を通じて人々の生活や 環境と森林との関係について理解と関心を深める」(平成14年度森林・林業白 書)こと、という定義らしきものが与えられているが、個人的にはなんとなくしっく りこないむず痒さを感じていた。ふと本屋で見かけた内山の本(標記)を読んで、 こういう思想が必要なのかなと感じた。著者には大変申し訳ないが、私なりに 荒く要約してみると次のようなことになる。  私たちが呼吸している社会、近代が生んだシステムは、その高邁な理念を振 りかざして、「歴史を持つ社会」を破壊しながら、「正常」に動いている。内に生き る私たちは日々よき市民を演じながらも、なんとなく厭き、本当の価値を見出せ ずに、刹那の中に生じる満足の中に自分の居場所をみつけだそうとしている。 その虚しさに対抗して、近代的理念を私たちの存在原理として措定すればするほ どに、近代から発生する諸矛盾を支えるというジレンマに陥る・・・。  もし突破口があるとすれば、歴史性を回復すること。過去の自然の営みがみ える場所。過去の人間たちの営みがみえる場所。そういう場所を持つということ で歴史性は回復できるかもしれない。「里」はそのような場所を与えてくれる。 世界に普遍性を求めるのではなく、それぞれの自然があり、歴史があり、関係 性があるローカルな世界から思想を組み立てなおす。自分が存在する「里」を もち、その「里」というローカルな世界から「近代」を解消させるリアリズムを手に する・・・。そういう哲学を構築することが、今、求められている。  森林環境教育にも、こんなような哲学的土台があっても良いのかなと思う。なぜ 人が森(里山)に向かうのか、そこには現代人が希求する必然的な理由がある。 それは根源的、哲学的なテーゼを含んでいるということだ。具体的な「里」や「里 山」を舞台として、自然や人々と具体的な関係性を築くことができるような森林 環境教育が必要であるように思われる。 4.フィリピンの森林・林業事情2  前回フィリピンの森林・林業事情1で、フィリピンの森林減少の原因について 書いてみましたが、今回は、第2回目として、第2次世界大戦後のフィリピンの 森林政策をみながら、それらが時代と共に森林に及ぼした影響について考えて みたいと思います。  1946年にフィリピンが独立を果たした後の1950年代マグサイサイ政権下では、 農地を再分配するための農地改革法が検討されました。その背景には小作 農民による大規模な反乱があったからですが、地主出身議員はこれに猛反対 をし、結局、小作農民は公有の天然林地帯に入植させればいいということで、 農地の再分配は行われず、替わりに森林地帯への開拓入植が進められました。 このことでとりあえず反乱も沈静化していき、多くの小作農民がミンダナオ島など の公有地に移住をしていきました。  また一方で、このころから日本への木材輸出が急増したことから、フィリピン 政府は外貨獲得のため、木材伐採協定(公有林野を企業に貸与して伐採活動 を認可するライセンス)を天然林地帯に付与しました。この木材伐採協定によっ て伐採権が与えられた林地は「伐採コンセッション」と呼ばれ、その面積は年々 増加し、1970年代には、約1000万haにもなり、伐採可能な公有林野は、ほぼす べて伐採コンセッションで覆われてしまいました。  さて、ここで問題となってくるのが、先述した開拓入植で森林地帯に入植した 人々です。政府は農地改革をできなかったために彼らを森林地帯へ入植させた にもかかわらず、木材輸出が盛んになると、木材伐採企業の権利を守るために 公有林野に入植している人々を「不法占拠者」とし、強制的に排除していく姿勢 を強めました。  また、前回も書きましたが、主要木材が伐採された後の2次林には、商業牧場 としての利用を認めるライセンスを発行しました。商業牧場では、毎年野焼きが 行われました。これは、牛にやわらかい新芽を食べさせるためで、この毎年の野 焼きが2次林を消失させた原因の一つであるといえます。  そして、牧場主と入植者との土地争いも深刻化していきます。NPA(新人民軍) といわれる武装組織は、こうした山間地域に住む不法占拠者とされた人々を主 要な支持基盤としています。NPAといった過激集団を生み出した背景には、この ような土地所有に関する問題もあるといえます。この続きはまた、次回にしたい と思いますが、今回書いた野焼きは、フィリピン各地で今でも目にします。時期 は乾季の終わり頃(3〜5月頃)です。夜に遠くの山を見ると赤い炎が夜空を照ら しているのをこの時期になるとよく見かけます。一瞬きれいだなあ、なんて思って しまうのですが、山の頂上までその火は広がっており、おそらく適正に管理はさ れていません。地域住民にとっては、生活のために必要な土地利用のひとつの 方法に過ぎないのでしょうが、慣習的な土地利用として安易に片付けてしまって いいものではないように思います。  住民の生活も考え、環境も考え、持続的にその土地が経済的にも環境的にも 維持していける方法を考えていかなくてはならないと思います。そうしなければ、 いくら資金を投入して植林をしても、植林をしただけで、その後は管理されるど ころか、焼失してしまいます。実際にそのような場所も多く目にしました。これら のことに関してもまた、次回以降に書いていきたいと思います。 (続く) 5.林野庁ホームページの御紹介 □記者発表資料〜プレスリリース〜  ○森林・林業の再生に関するプロジェクトチーム第2回会合開催について  ○林政審議会施策部会の概要について  ○無人ヘリによる松くい虫防除に関する運用基準作成のための   検討会(第1回)の概要 □今月の施策紹介  ○国産材、使って減らそうCO2  ○国有林材PR月間 □お知らせ  ○「スギヒラタケ」の特徴と写真について ********************************* 森林環境教育ネットワークメールマガジン 発行者 肱黒直次 編集者 黒澤 徹 多田裕一 URL http://www.zenmori.org/feenet/ ********************************* <編集後記>  “自然の叡智”をテーマとし、121カ国4国際機関が参加した「愛・地球博」が9 月25日に終了しました。  景気の低迷、開催地の変更、協力団体の不参加等、開催前から様々な問題 がありましたが、「終わりよければ全て良し」ではありませんが185日間の開催 期間中には特に大きな事故等もなく、目標を大きく上回る2200万人が入場した そうです。  このメールマガジンの読者の中にも、スタッフだった方が多数いらっしゃいます。 お疲れ様でした、また、ありがとうございました。  ところで、モリゾーとキッコロは森に帰ったそうですが、その後はどうなるので しょうか?  私の予想としては、「数年後・・・人々が愛知万博のことをすっかり忘れ、森林を 破壊し、エアコンをガンガン効かせ、地球温暖化が益々進む。モリゾーとキッコロ が怒って巨大化し、名古屋市内に出現、発電所や工場を次々に破壊し・・・」 *********************************